オープンイノベーション

事業内容

オープンイノベーションで地域課題を共創的に解決する― マッチングを超えた共創のプロセス 

<目次>

なぜ今、地域にオープンイノベーションが必要なのか

地域社会が直面する課題は、人口減少、産業の衰退、環境負荷の増大など、多岐かつ複雑に絡み合っています。これらは一つの組織や分野の力だけでは解決が難しく、多様な主体の知見・技術・資源を結集する必要があります。そのため、企業間の技術連携として発展してきたオープンイノベーションの考え方が、地域課題の解決にも求められるようになっています。 


オープンイノベーションの変遷と地域におけるあり方

地域共創を実現するオープンイノベーションの「型」

2003年、ヘンリー・チェスブロウ氏が提唱した当初のオープンイノベーションは、企業と大学・研究機関の技術シーズを連携し市場化するモデル(1.0)でした。その後、SDGsなど社会課題の深刻化を背景に、課題設定段階から多様な主体が関与し、社会的価値と経済的価値を両立する共創型モデルへ進化(この変化をオープンイノベーション2.0と呼ばれます)。

現在では、異地域・異分野・異文化をまたぐ広域連携の潮流、すなわりオープンイノベーション3.0の動きも生まれています。地域では、2.0を基盤に3.0の視点を組み合わせたアプローチが有効です。 地域におけるオープンイノベーションの「型」は、以下のように多種多様な形で展開されています。 

  • 行政 × 地場産業 × 都市部流通企業:地域資源を活かした新商品開発 
  • 地域企業 × 大学・研究機関 × 外部クリエイター:観光×教育の融合サービス
  • NPO × スタートアップ × 金融機関:環境保全とビジネスを両立する事業モデル 

関わる主体は、行政、企業、組合、教育機関、NPO、市民団体、金融機関、大企業、スタートアップ、海外ネットワークまで幅広く想定されます。 こうした多様なプレイヤーが対等に集い、課題共有・実証・改善を繰り返せる「越境の場」が鍵です。

必要なのは、地域資源やデータをオープン化し外部と共有する仕組み、試作・検証が可能なフィールド、成果を事業化・制度化する支援体制。これらを備えることで、複雑な課題解決、新産業創出、二地域居住者増加を同時に実現することができます。 


よくある課題

  • 地域課題に取り組む際、行政・民間・住民など立場の異なる関係者同士で意見や思いのすり合わせが十分に行われず、共通の課題認識や将来に向けたビジョンが育ちにくい。 
  • 域外企業や技術提供者との連携を図ろうとしても、互いの期待や役割が明確でないままでは信頼関係や共創体制の構築が進まず、合意形成や協働の意思決定に時間がかかる。 
  • マッチングや協働が成立しても、行政事業の終了とともに活動が途絶えやすく、地域に根付く継続性や成果の広がりが生まれにくい。 

「共創」のプロセスが、地域の変化を本質的に支える

地域におけるオープンイノベーション事業は、多くの場合「地域側の課題」と「域外企業の技術シーズ」をマッチングさせる形で進められます。しかし実際には、予算ありきの短期的事業にとどまり、持続的な成果へと結びつかないケースも少なくありません。こうした背景から、マッチング型のオープンイノベーションには一定の前提条件が求められます。  

具体的には、①課題が明確であること、②適切な技術や提供者が存在すること、③課題解決のための財源が確保されていることの三つです。ところが多くの社会課題は複雑で定義が難しく、地方都市では技術やリソースへのアクセスも限られています。財源も補助金や交付金に依存する場合が多く、確保できても単年度から数年にとどまり、継続的な取り組みには不十分です。そのため地域課題には長期的な視点が必要にもかかわらず、現状のマッチング型では十分に応えられないという制約があります。  

だからこそ、「なぜその課題が生まれたのか」「誰がどう関わるべきか」といった問いに立ち返り、関係性や意味を再構築しながら地域を変えていく姿勢が重要です。形式的なマッチングを超えて、多様なプレイヤーが互いを理解し、共に考え、共に動く。そうした共創のプロセスこそが、持続可能な価値創出の基盤となります。 


実践に根ざした、ミテモの共創アプローチ

ミテモは、オープンイノベーションを単なるマッチングにとどめず、地域と域外企業の双方にとって持続可能な価値を生む仕組みづくりを実践してきました。そのアプローチの特徴は以下の4点です。

高い視座を育む課題設定支援

地域の行政や企業が目先の課題解決に留まるのではなく、存在意義や担うべき役割を深く掘り下げ、経済的・社会的に生み出す価値を明確化。域外企業にとっても魅力的で、連携する意義のある地域像を描き出します。

多様な立場や文化をつなぐ翻訳と調整

官民や域内外など多様な文脈や意思決定モデルを相互理解し、全関係者にメリットが生まれる「ALL Win」の状態を目指すプログラムを実施。課題理解からビジョン策定、組織形成、協業モデル構築までを一貫して支援します。

域外企業との真の共創関係の構築とビジョン共有

技術シーズの売り込みや単発案件ではなく、地域の複雑な課題構造を共に理解し、横断的なビジョンを共有することで、地域にとって持続可能な協業モデルを創出します。

共創の場とプロセスのデザイン

自己実現と地域価値創出を両立させるコンセプト設計を行い、広報・参画促進から事業化までをつなぐ共創的な場を設計・ファシリテートします。 


事例

事例➀:名古屋市 フィールド活用型支援事業『Hatch Tecnology NAGOYA』 ―共創型プロジェクト形成を促進

概要: 
名古屋市が実施した「フィールド活用型支援事業」では、実証事業者とフィールド提供事業者の出会いを促進するコミュニティ「Hatch Meets」を通じて、先進技術の社会実装を目指したプロジェクト創出が進められた。ミテモは事務局の一員として、プロジェクト形成から実証実験までを伴走支援した。

支援の特徴: 

  • コミュニティ「Hatch Meets」を通じて、実証事業者とフィールド提供事業者の出会いと協働の場を設計。
  • 2024年度にはリアルイベント「Hatch Meets UP!」を4回開催し、参加者同士の交流やワークショップを通じてプロジェクト創出を促進。
  • その結果、4件の実証プロジェクトが名古屋市内の実フィールドで実施され、単なるマッチングを超えた中長期的な協働のきっかけを生み出した。   

事例➁:野県塩尻市 シビック・イノベーション拠点『スナバ』 ― 地域と多様な人材をつなぐ共創拠点

概要: 
長野県塩尻市にあるシビック・イノベーション拠点「スナバ」は、2018年のオープン以来、コワーキング機能や起業家コミュニティ、アクセラレータープログラムを通じて地域へのインパクト創出を目指してきた。ミテモは立ち上げ当初から経営アドバイザーとして伴走し、運営支援や共創の場づくりを推進している。

支援の特徴:

  • 立ち上げ当初から運営に伴走し、共創の場づくりや事業運営を支援。
  • 累計280名のメンバーのうち約60名が移住・二地域居住者となり、地域おこし協力隊13名の定着率は100%を達成。 
  • 「おためしナガノ」など県の施策でも高い継続率を示し、地域と多様な人材をつなぐゲートウェイとして機能。

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この記事を書いた人

人材育成支援・地域共創支援を事業とするミテモにおいて、マーケティング戦略立案・Web運営・広報施策を横断して担うチーム。
事業を通じて培った専門知識と自社での実践・検証をもとに、人・組織の課題解決に役立つ情報を発信しています。

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