研修計画の立て方とは?押さえておくべきポイントと失敗例
研修計画の立て方とは?押さえておくべきポイントと失敗例

こんにちは!コロナ渦の影響もあり、テレワーク化が進む中で私たちの働き方も大きく変化しています。
こうした状況の中で多く企業の人事担当者様から
- 「研修計画の変更を余儀なくされてしまった」
- 「これを機に研修計画のポイントや立て方のプロセスを体系的に学びたい」
- 「現在の研修プログラムを見直したい」
- 「研修計画のテンプレートがあれば欲しい」
- 「研修計画策定の具体例が見たい」
という研修計画に関する沢山のお声を頂戴しています。
研修計画とは、企業や組織で働く人たちに向けて実施する研修の計画のことです。計画を立てる上では、目的や目標を明確にし、効果的に受講者が現場での行動に移せるように促すこと、ひいては企業の経営理念や経営戦略の実現に寄与することを意識する必要があります。
本コラムでは、2回に分けて、効果的な研修計画の立て方について、具体的な研修設計のプロセス、すぐに研修計画に活用できるテンプレ―トなども含めてご紹介します。第一弾目となる今回は、研修計画の定義、押さえておきたいポイント、研修計画の失敗あるあるをお伝えします。
研修計画とは
研修計画とは、企業や組織が、そこで働く人たちに向けて実施する、研修をはじめとする人材育成の取り組みについて計画することです。ひとくちに研修計画といっても、新入社員や中途社員を対象とする限定された対象者に向けたものや、ハラスメント防止研修などの特定のテーマで行われるものなど様々です。
「研修計画」には、大きく分けて3つのパターンがあります。
1.組織全体で一年間に取り組む人材育成施策の全体計画を立てること
全社共通研修や年次階層別研修など、組織単位で、一年間に取り組むべき研修を中心とした育成施策の全体計画を立てることを研修計画と呼ぶことがあります。
(以下、例)
- 年次・階層別研修:年次や階層の区切りで組織横断的に参加する
- 全社共通研修:コンプライアンスなど全社員が同時に同じものを受講する
- スキル研修:部署や職種ごとに必要な内容を受講する
- 次世代経営者育成研修:選抜された人たちが参加する
2.特定の対象者を一定期間かけて育成する計画を立てること
新入社員研修やリーダー研修といった、一定期間に特定の対象者に向けて、研修を中心とする育成施策を複数組み合わせた計画を立てることを指す場合もあります。
(以下、例)
- 新入社員・中途社員研修:業務を始めるために必要な複数の要素を集中的に学ぶ機会
- リーダー育成研修:リーダーとしての役割を果たせるようになるために必要な複数の要素を集中的に学ぶ機会
3.特定のテーマ・特定の対象者に向けて実施する研修の計画を立てること
コミュニケーション研修・ハラスメント防止研修のような特定のテーマや目的を持ったもので、特定の対象者に向けて行われる研修会の計画を立てることを研修計画と呼ぶこともあります。
(以下、例)
- コミュニケーション研修:生産性向上のために社内コミュニケーション活性化について学ぶ機会
- ハラスメント防止研修:ハラスメントに対して正しい理解をし、職場での防止や職場環境の改善について学ぶ機会
研修計画の目的
研修計画を立てる目的は、企業や組織が経営理念や経営戦略の実現に向けて、人材育成の領域で取り組むべきことは何なのかを明らかにすることです。企業や組織にとってどのような人材が必要なのかを考え、現状を把握し、取り組むべきことの目的や目標を明確にしながら研修計画を作成する必要があります。
研修計画を考える際には、まず以下の2つのポイントからチェックしてみましょう。
1.研修の目的が明確になっているか
企業や組織の研修は、長年繰り返し同じ内容で行われている事も多く、研修を計画した当初と現状に乖離が起きているにも関わらず、内容が見直されずに同じ研修を毎年続けてしまっているケースがあります。あるいは、見直しの必要性は感じているものの、研修を計画した担当者が異動になり、引き継いだ後任者が研修を実施することで精いっぱいで見直しにまで手が回らないということもあります。
本来、研修とは、経営理念の実現や事業の成果創出を実現するための手段のひとつとして行われるものです。企業や組織を取り巻く様々な環境の変化に合わせて、研修計画も柔軟に変更していく必要があります。設定していた目的がミスマッチになっていないか、いつの間にか研修を開催することが目的になっていないか(手段の目的化になっていないか)、確認してみましょう。
目的や目標を確認・再設定できたら、チームメンバや上長、関係部門や経営層など、社内のステークホルダーとの認識合わせも忘れずに行ってください。
2.本質的な課題解決になっているか
研修には、企業や組織の中で日々起こる問題に対処するために実施するケースがあります。
(以下、例)
- 情報漏洩事故が起きたので情報セキュリティ研修をやろう
- ハラスメントが起きたのでハラスメント防止研修をやろう
起きた問題を解決するための的を絞った研修は計画を立てやすい一方で、研修計画を立てる際に、表面的な問題に着目してしまい、本質的な課題解決になっていないことがあります。もし同じ問題が繰り返し起きているようであれば、中長期的な目線で本質的な課題解決に取り組むことが必要な場合もあります。
問題への対処として研修を実施しているが、イマイチ効果を感じられない、成果に繋がっていないと感じている取り組みがあれば、問題の要因が実は別のところにないか、研修のターゲット層が間違っていないか、など要因を深く分析して、本質的な解決につながるように考えてみてください。
研修計画を立てるポイント
これまで研修と言えば教室で行う対面型の研修一択だったところから、働き方の多様化やテレワークの普及によって、オンライン研修や動画教育などが活用されるようになり、研修の実施形式も多様化してきています。短時間でより効果的な研修が求められるようにもなってきました。このような変化が起きていますが、効果的な研修計画を立てる際のポイントは、「インストラクショナルデザインを用いて研修計画を立てること」に変わりありません。
インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)とは、学習効果を最大化するための考え方とその技術のことを言います。(※インストラクショナルデザインの具体的な理論は第二弾でご紹介します)
インストラクショナルデザインを用いた研修計画で目指すものは以下の3つです。
1.受講者が職場で行動すること
研修の目的は、企業の経営理念、経営戦略を達成するための人材を育成することなので、最終的には受講者が職場の実務で成果を出すことが求められます。成果を出すためには職場の実務で行動を起こす必要があるので、研修計画ではいかに職場での行動につながるようにしていくかが大切になります。研修を実施したことだけに満足せずに、受講者が職場に戻ってから、学習したことを行動に移せるような研修計画を立てます。
2.研修計画を改善すること
受講者の職場での行動に必要な学習内容に絞り込み、成果につながりやすい研修計画を立てても、成果につながるかどうかは実施してみないとわかりません。どのような観点と、どのような手段で学習効果を測定するかを予め決めておき、実施後に測定します。測定結果を確認し、必要に応じて研修計画を変更し、学習効果が高まるように改善していきます。
3.受講者のモチベーションを維持すること
受講者が研修に参加しながら学びたいと思う意欲を高め、研修の最後には学んだことを職場で実践してみたいと思うモチベーションが生まれて、職場で行動を起こし、その行動が持続するように働きかけていく必要があります。そのためには達成感や報酬を得るなどのわかりやすい動機付けだけでなく、受講者自身が「学びたい・職場で実践したい」と自ら思えるような研修計画を立てます。
研修計画の失敗例
インストラクショナルデザインの考え方を踏まえずに研修計画を行ってしまったときに陥りがちな研修計画の失敗あるあるを2つご紹介します。
失敗例1:熱心すぎる!?教える側中心の「詰め込み研修」
人事・研修担当者や、講師として教える側が「○○を教えたい」「○○を伝えたい」と熱心になるあまり、詰め込み型の研修ができあがってしまうことがあります。「受講者(学習者)中心主義」を意識して、研修の目的・目標を達成する上で受講者にとって必要な内容が何なのかを考えていくことで適切な研修を作ることができます。
また、受講者の置かれている現状に合わせた研修にすることも重要です。例えば、10年前と今では、時代背景が大きく異なり、受講者を取り巻く環境も大きく変わってきています。自分自身の過去の経験や考え方にとらわれず、現在の受講者を意識して研修計画を立てていきましょう。
失敗例2:過去の経験にとらわれた「手法先行研修」
研修計画を立てようと思うと、自分自身がこれまでに経験した研修や学校の授業など、過去の学習体験を参考にすることが多いのではないでしょうか。しかし、過去の経験にとらわれてしまうことで、研修計画が効果的なものではなくなってしまう場合もあります。特に以下のチェック項目に当てはまる方は要注意です。
- 学校で先生の話を一方的に聞く授業の経験が多く、研修とは講師が受講者に向けて一方的に情報を伝えるものだと認識している
- 対話やディスカッションを行う研修で、他の参加者と盛り上がって楽しかった経験から、内容に関わらず対話やディスカッションが盛り上がることを重視している
自分自身の経験を活かして研修計画を立てることは間違っていないのですが、「研修とはこういうものだ」という偏った認識がないかどうか改めて考えてみてください。研修の目的や目標を達成するために最適な手段を検討・選択できるようにしましょう。研修計画を立てる上での引き出しを多くするために、多くの学習体験を持つことおすすめします。
研修計画を形だけで終わらせないために
今回は研修計画の定義、押さえておきたいポイント、陥りがちな失敗例などをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
「企業や組織の経営理念や経営戦略の実現に向けた取り組みとして研修計画を位置づけること」「本質的な課題解決につながること」「インストラクショナルデザインを踏まえて受講者の職場での行動につながるようにすること」いずれも簡単ではありませんが、研修担当者の仕事は企業や組織の変革につながる仕事として非常にやりがいのある仕事です。
ご紹介した内容を参考にしていただきながら、研修計画を見直すことから始めてみませんか。

お客様事例
-
経営層向けダイバーシティ(DE&I)研修事例|日産車体株式会社
-



内定者・新人合同チームビルディング研修事例|株式会社キタセキ
-



全社員向けデザインシンキング研修事例・ワークショップ事例|セガサミーホールディングス株式会社
-



2025年度新入社員研修 研修事例・ワークショップ事例|キヤノンシステムアンドサポート株式会社
-



2024年度新入社員研修事例・ワークショップ事例|旭化成株式会社
-



組織の未来を探求するビジョンメイキングワークショップ研修事例│いばらきコープ生活協同組合
-



未経験者でも習得できる研修内製化支援プログラム事例│株式会社MTG
-



ビジョンを軸にしたチームビルディング研修事例|セーフィー株式会社
新着イベント
新着News&トピックス
-



組織の一体感を高める鍵─レゴ®シリアスプレイ®がもたらす対話と創造の力
-



なぜダイバーシティ推進がうまくいかないのか?行動変容を生む組織づくりのポイント
-



なぜ中小企業に「デザイン経営」が必要なのか?経営資源を活かす新たな視点
-



現場から始める製造業DX|新規事業開発の機会と課題
-



理念を浸透させるには?トップダウンとボトムアップをつなぐインナーブランディング施策
-



一過性で終わらせない地域支援|価値が根づく事業設計の考え方
-



納得感あるキャリア研修をどう設計するか|自律型人材を育むプログラム開発の考え方
-



地域でロールモデルを生み出すには|自治体が押さえるべき支援設計のポイント
-



和歌山県デザイン経営価値共創支援事業 参加者インタビュー ニッティド株式会社【VALUE – WAKAYAMA Design Management】
-



和歌山県デザイン経営価値共創支援事業 参加者インタビュー 株式会社シマムラ【VALUE – WAKAYAMA Design Management】
-



和歌山県デザイン経営価値共創支援事業 参加者インタビュー 株式会社貴望工業【VALUE – WAKAYAMA Design Management】
-



人的資本経営とは何か?|企業価値を高めるエンゲージメント向上の実践法
-



和歌山県デザイン経営価値共創支援事業 参加者インタビュー 米阪パイル織物株式会社【VALUE – WAKAYAMA Design Management】
-



和歌山県デザイン経営価値共創支援事業 参加者インタビュー 有限会社駄菓子屋の夢博物館 【VALUE – WAKAYAMA Design Management】
-



管理職が今知るべきエンゲージメント向上のための取り組み
-



「小さな物語」である伝統工芸が海外進出するための生存戦略の考察
-



地域中小企業のデザイン経営と共創の場の作り方セミナー
-



中小企業のイノベーションを促進するデザイン態度の開発 〜 実践と研究成果の共有【前編】
-



名古屋市の実践事例から分析する起業家(アントレプレナーシップ)教育が地域にもたらす効果
-



事例から読み解く、着地型観光コンテンツの作り方
-



インバウンド富裕層向け観光コンテンツの作り方 ―地域固有の文化資本を活かし、高付加価値な体験商品を開発する
-



吉野林業を体験できる「臨場感再現触覚VR」の体験ブースを出展|2025年大阪・関西万博&拡張万博 未来体感フォーラム参加レポート
-



インバウンド旅行者に届く高付加価値観光コンテンツの作り方
-



地域ブランド×DX ―デジタル技術を活用して顧客体験価値向上をはかる



