インストラクショナルデザインによる効果的な研修改善支援事例│株式会社羽田エアポートエンタープライズ
インストラクショナルデザインによる効果的な研修改善支援事例│株式会社羽田エアポートエンタープライズ

ミテモはさまざまな企業への研修の実施や、研修教材の制作などを数多く手掛けている。研修の実施においては、インストラクショナルデザインの代表的なプロセスモデルであるADDIEモデル*1をベースに、研修を企画するための現状分析、それをもとにした設計、開発、実施、その後の評価を行っており、そこで培ってきたノウハウを生かして、企業の研修・人材開発部門の研修内製化の支援も手掛けている。
今回は、羽田空港、成田空港、関西空港という日本を代表する空港で、お土産、服飾雑貨等のショップやブランドブティックなどの店舗の運営・販売や、その販売スタッフの採用・育成を行っている株式会社 羽田エアポートエンタープライズ様(以下、羽田エアポートエンタープライズ)の販売スタッフ向け研修の設計見直し、研修スライドのリニューアル、インストラクター同士のフィードバックの場づくりを支援した。
*1:ADDIEモデルとは、学習の目標を達成するために必要な学習活動を分析・設計・開発・実施・評価の5つのフェーズとして定義したモデル
ケーススタディ概要
会社名
羽田エアポートエンタープライズ
対象
品質管理部 営業部所属の販売インストラクターの皆さま
目標
営業所ごとに異なっていた研修内容や教材を統一することで、提供品質の水準を上げ、研修受講者である新人スタッフにとってわかりやすい研修にする
提供したサービス
- 研修ゴールの再設計とゴールに合わせた研修内容の再構成
- 研修講師用のインストラクションガイドの作成
- 研修教材(パワーポイントスライド)の内容修正とリデザイン
- 新しい研修教材・インストラクションガイドを用いたリハーサルとインストラクター同士のフィードバックの場づくり
「訪れる人に安らぎを、去り行く人にしあわせを」
羽田エアポートエンタープライズは、日本と世界を結ぶ玄関口、羽田空港や成田空港、関西空港で
「おもてなし」を提供する企業。同空港内の直営店舗の運営、販売スタッフの採用・育成を手がけています。

羽田エアポートエンタープライズ コーポレートサイトより
空港という特殊な場所柄のため、空港内のショップは接客業に慣れているかたでも戸惑ってしまうことが多いんです」、そう語ってくれたのは、同社品質管理部品質管理課の荒井由里子課長。ミテモのシニアディレクター 小田川仁が、荒井課長と販売インストラクターの皆さんに今回の研修改善支援について感想を聞きました。

原裕美副課長(品質管理部品質管理課)、小田川仁(ミテモ シニアディレクター)
インストラクターの熱い想いが、研修内容のバラつきになってしまっていた
小田川:今回、「研修教材のデザイン統一」でお声がけいただきましたが、もともとどのような悩みがあったか改めてお聞かせください。
荒井課長:弊社は、羽田空港を中心に空港のショップ運営を手がけています。また、弊社の直営店を含む空港内で働くみなさんへの研修も担当しています。空港は特殊な環境で、接客業に慣れているかたでも戸惑ってしまうことが多いんです。私たちはショップ店員の戸惑いを減らし、空港のルールを守りながらも迷うことなくお客様を「おもてなし」ていただくための研修を行っています。
原副課長:空港では出発・到着フロアと、保安検査場を通過した後の保安区域、国際線の免税店などが並ぶ出国エリアでそれぞれ対応に違いが出てきます。こうした空港ならではの特殊性を理解いただくことを目的のひとつとして研修を行っています。ただ、研修のスライドや、教えかたが統一されておらず、また、新人スタッフにとってわかりにくい部分があったため、新人スタッフの知識、スキルにバラつきが出てしまっていたんです。
小田川:研修のひとつである、「保税実務」*2についての研修は私も受けました。専門的な内容で、ボリュームも多く、インストラクターの山本さんも大変だろうなと感じました。
*2: 「保税実務」では免税売店で販売する商品の取り扱いなどを学ぶ。免税売店は関税法に基づく適正な在庫管理や不正行為の防止等が求められているため、入店するスタッフには適切な研修を受けさせることが義務付けられている。
山本さん:「うっかり」が許されないんです。例えば、お店で「こちらのほうがお客様の目に留まるかもしれない」とお店の商品を店頭に目立つように並べただけでも関税法違反となってしまうケースもある。「ここに置いてはダメです」と言うだけではなく、「ここに置くとなぜダメなのか」を理解していただかないといけません。

小田川:山本さんの保税実務は2.5時間で、全6パートあり、研修スライドは65ページと相当なボリュームでした。実際に研修を受けて感じたのは、難しい内容をできるだけかみ砕いて説明し、「必ず守ってほしいこと」「しっかりと理解してほしいこと」を、何とか伝えようと苦心していらっしゃる様子でした。
荒井課長:全部で9名いるインストラクターも店舗経験があり、自分がつまずいたこと、理解しづらかったことを、何とか新人スタッフさんに理解してもらおうと、研修スライドに盛り込んでいました。一方で、その想いの強さに比例して、インストラクターごとに内容に違いが出て、難しい部分が厚くなってしまっていたんです。これを是正したいと思って、ミテモさんに相談しました。
お互いの想いを出し合って、ゴールに向けてひとつにしていく
小田川:今回はまず、私がみなさんの研修を受講して講義で説明されている内容をメモしていきました。メモを元に作ったインストラクションガイドの下書きを見ながら、インストラクターのみなさんとディスカッションを実施。研修のゴールを整理し、整理されたゴールに合わせて研修内容を取捨選択し、説明する順序や並び替えを調整し、講義で説明するときのポイントを付け加えて、インストラクションガイドを完成させました。そして、それをもとに研修教材のスライドをリデザインしました。
その後、制作したインストラクションガイドとスライドを用いたリハーサルをインストラクターのみなさんに実施いただき、そこで出てきたフィードバックを反映させることで研修の品質向上に取り組みました。
荒井課長:ゴール設計は大事でしたね。
研修スライドを統一する、インストラクターに共通の台本を用意するだけではなく、「この研修で受講生に習得して欲しいこと」というゴールを決める。それがあれば、各インストラクターの知見や熱意が整理され、ひとつにまとまるんだと実感できました。

「外から意見をもらってみよう」と考えてミテモに相談。結果「理想通りの状態ができました」と満足いただけました。
小田川:研修を受けてみて、インストラクターの皆さんの実体験、現場経験の豊富さを感じました。それぞれの知見、経験をディスカッションの場で出して取捨選択することが大事だと感じたんです。中島さんはインストラクターになって間もないと伺っていましたが、先輩インストラクターのみなさんとやりとりしてみていかがでしたか。
中島さん:自分で研修を受け持つようになって、新しいスタッフにはせっかく研修を受けるのだから、しっかり理解してほしい欲しいと考えていたんです。先輩たちが作ってくれた研修スライドでそのまま伝えるのではなく、「どうやったらわかりやすく伝えられるか」を考える。経験が浅いからこそ、意見を出して先輩たちと取捨選択をしていくべきだと考えて参加していました。
山本さん:改めて自分の研修を振り返ると、保税実務は難しいので「困ったら必ずわかる人に聞いてください」と言って流す部分が中にはあったように思います。インストラクターのメンバーに対してリハーサルを行い、その後に説明した内容についてどうだったのかディスカッションすることで、新人スタッフに対して「聞かなくても適切に判断ができるようサポートする」のが目的だったと改めて気づかされました。



中島さん:ディスカッションの最初に、小田川さんが話してくれた「And more」の考えは今後の仕事でも生かしたいです。「ここが悪い」とBad pointから伝えるのではなく、「ここが良い!」とGood pointを伝え、「こうするともっと良くなると思います」とAnd moreを伝える。先輩たちや私の意見がひとつにまとまっていくのが実感できました。
わかりやすく「おもてなし」につながる研修へ
荒井課長:ミテモさんには、インストラクショナルデザインをもとに研修のゴール設定、研修内容の整理をしてもらいましたが、研修スライドのデザインも大幅に直していただきました。色味やイラストなどの見栄えを統一しただけでなく、内容が伝わりやすくなるように文言の見直しや、図式化などにも工夫いただき、より説明しやすく伝えやすい資料に変わったように思います。

原副課長:今後も、インストラクター同士で研修リハーサルを行う場を設けたいと考えています。現在いる9人のインストラクター同士でゴールや内容を再確認するだけではなく、フィードバックしあうことでインストラクターとしてのスキル、ノウハウを残していく機会にしていきたいですね。

山本さん:インストラクターが、個人で研修スライドをつくると「伝えたい」という熱意が独りよがりになってしまうこともあります。 今回初めてインストラクター同士で意見を出し合うことをしましたが、そうすると独りよがりな部分に気づかせてもらえたり、考え過ぎてこんがらがってしまっていたヒモがほどけたりするんですよね。今後も、社内で継続させていきたいです。
荒井課長:空港のさまざまなルールについて販売員のみなさんに「ルールなんです」と話すと素直に受けとってくれるんです。でも、「なぜそういうルールなのか」を知れば、自発的に動くことができて、その結果気持ち良く仕事ができます。それは「おもてなし」につながると思います。「おもてなし」につながることを信じて、今後も研修を磨いていきたいと思います。
シニアディレクター・小田川からひとこと
短納期を乗り越えた共創――研修内製化支援で実現する成果

シニアディレクター
CompTIA CTT+ Classroom Trainer
今回は案件開始から納品まで1.5か月と短納期だったのですが、荒井課長をはじめ、インストラクターのみなさまがディスカッションやレビューの時間を十分に確保してくださり、レスポンス早く必要な情報をご提供くださったおかげで、ご満足いただけるものを提供できたと思います。改めてみなさまのご協力に感謝いたします。 ミテモでは、研修内製化の支援として、「既存研修の見直し」「社内講師のスキルアップ」などに対応することが可能です。お気軽にご相談ください。
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