CIRCULAR YOUTH CAMP ~「挑戦」の連鎖を、若者世代から。ローカルSDGsに取り組み続ける。
CIRCULAR YOUTH CAMP ~「挑戦」の連鎖を、若者世代から。ローカルSDGsに取り組み続ける。

実施背景
CIRCULAR YOUTH CAMPは、ローカルSDGsに取り組むユース世代(18歳~30歳)の育成を行なうとともに、自発的な地域活動が継続して起こるよう、地域と参加者、また参加者同士の「関わりしろ」作りを目的としたプロジェクトです。
日本では、人口減少や少子高齢化、農業や林業の後継者不足など、地域によってさまざまな課題を抱えています。そんななか、平成30年に閣議決定された「第五次環境基本計画」では、複雑化する地域の環境・経済・社会課題を踏まえ、SDGsの考え方を活用した「地域循環共生圏」 が提唱されました。
「地域循環共生圏」とは、各地域の美しい自然景観といった資源を活用しながら、自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を保管し支え合うことで、環境・経済・社会が循環し、地域の活力が最大限発揮されることを目指す考え方です。さらに、「地域循環共生圏」は、地域でのSDGsの実践(ローカルSDGs) も目指しています。
環境省は、「地域循環共生圏」に加え、令和3年に決定された「地域脱炭素ロードマップ」を進めるため、地域の特性や強みを活かしながら、地域内外のスキルや他者との連携により諸課題に取り組み、課題解決できる人材の育成を行なっています。
なかでも、令和元年に国連採択された「持続可能な開発のための教育:SDGs達成に向けて(ESD for 2030)」では、次世代を担うユース世代の参画が優先行動分野のひとつに取り上げられており、今世界では課題解決を進めていく人材として、ユース世代への期待が高まっています。
環境省から委託を受けた本事業では、ユース世代にローカルSDGsを知ってもらうため、高校生から大学生に向けて「CIRCULAR CAMPUS SEMINAR」を、大学生から社会人に向けて「CIRCULAR YOUTH CAMP」を実施しました。本プロジェクトの構想は以下の通りです。
- CIRCULAR CAMPUS SEMINARは、高校生から大学生までのユース世代に、ローカルSDGsや地域の課題について知ってもらう
- CIRCULAR YOUTH CAMPは、大学生から若手社会人までのユース世代に、ローカルSDGsについて知ってもらうだけでなく、地域課題に対して「自分に何ができるのか」を考えてもらう機会を提供する
- 参加者と地域、参加者同士の「関わりしろ」を見つけてもらい、今後の自発的・継続的な活動の基盤としてもらう
本事業の最終的な目的は、参加者が地域、そして同じ志を持つ仲間との「関わりしろ」を見つけ、事業終了後も自発的・継続的にアクションを起こすための基盤としてもらうことです。参加者による今後の地道な活動の連鎖が、課題解決への大きな一歩になるはずという思いで、本事業を実施しました。
具体的な取り組み
CIRCULAR CAMPUS SEMINARの実施
CIRCULAR CAMPUS SEMINARは、高校生や大学生、そして開催地の近隣在住者にローカルSDGsについて知ってもらうため、2022年3月、全国5エリア(東北・近畿・中国・四国・北海道)において、各地域の特色を活かしたオンラインセミナーを実施しました。セミナーでは、まず最初に全エリア共通でSDGsに関する講座を行ない、SDGsへの理解を深めたあと、各エリアごとに設定したテーマに基づいて、ゲストが講演を行いました。
SDGsに関する講座では、カードゲームを用いて、SDGsの考え方に触れてもらいました。その後の講演では、地域活動家たちの思いや信念に触れ、「自分に将来何ができるか」、また「自分の可能性を地域でどう活かせるか」を考える機会を提供しました。各地域のテーマは以下の通りです。
【キャンパスセミナー地域別テーマ】
- 東北エリア:持続可能な暮らしと環境教育(公益社団法人MORIUMIUS9)
- 近畿エリア:ジビエ、限りある資源を循環させる(株式会社Re-Social)
- 中国エリア:地域の暮らしとゴミ削減(公益社団法人うんなんコミュニティ財団)
- 四国エリア:持続可能な食への挑戦(グリラス株式会社)
- 若者の食と健康(北海道大学COI『食と健康の達人』拠点)
- 北海道エリアのみオンラインのみではなく、北海道大学を会場に現地参加も可能としました。
CIRCULAR YOUTH CAMPの実施
CIRCULAR YOUTH CAMPは、次世代を担う大学生から若手社会人を対象に、2022年2月から3月にかけて実施しました。参加者がローカルSDGsについて理解を深めるだけでなく、実際に地域固有の自然や歴史、文化、そこで活動する人々の思いに触れながら、参加者自身が地域課題に対して、今後どんなアクションを起こせるか考えることを目的としたものです。
大まかなプロジェクトの流れは以下の通りです。
Day01:KICK OFF(知恵を持ち寄る)
Day02:DIVE(地域のリアルと向き合う)
Day03:CULTIVATE(アイデアを育て合う)
Day04:CIRCULAR DEMODAY(挑戦の連鎖を生み出す)CIRCULAR YOUTH CAMの実施

Day02のみ参加者は希望した1地域をリアルもしくはオンラインで訪問し、現地の状況に触れながら地域課題への理解を深めるプログラムを実施しました
Day01:KICK OFF(知恵を持ち寄る)
本事業のゴールは、単に地域テーマの解決策を講じるのではなく、参加者が地域のテーマに今後どのように関われるかを考え、実際にアクションを起こすための知識や思考、人間関係といった基盤を作ることです。
初日のキックオフプログラムでは、まず参加者にプログラムの目的やゴールを理解してもらったうえで、環境分野で現在活躍中のユース世代のリーダー達によるトークセッションを行ない、参加者のマインドを醸成しました。そして最後にDay02に向けて、各地域講師よりテーマ紹介や事前課題の発表を行いました。
【トークセッションテーマと登壇者】
- 「もう一歩先のローカルSDGsを考える~今必要な行動とは~」
- 佐藤可奈子 氏(ウーファ/women farmars japan Inc.代表取締役)
- 清水イアン 氏(weMORI代表)
- 武藤千春 氏(アパレルブランド「BLIXZY(ブライジー)」プロデューサー・デザイナーMCライフブランド「ASAMAYA」店主)
Day02:DIVE(地域のリアルと向き合う)
プログラム2日目は、下記4地域のうち参加者が希望した地域をリアル、もしくはオンラインで訪れ、現地の状況に触れながらそれぞれの地域の課題について理解を深めました。
【4つの地域とテーマ】
- 岐阜県美濃市エリア
「森林から始める新たな価値のデザイン」
(地域講師:萩原ナバ裕作 氏/岐阜県立森林文化アカデミー准教授)
- 新潟県佐渡市エリア
「共生し、活かし合う里山の未来デザイン」
(地域講師:豊田光代 氏/新潟大学 佐渡自然共生科学センター准教授)
- 宮崎県日之影町エリア
「世界農業遺産と伝統文化を次世代に継承するサステナブルなくらし方」
(地域講師:田中弘道 氏/大人ジビエ振興協議会会長、大人発電農業協同組合代表理事) - 福島県浪江町エリア
「福島の地で安心安全な食を守り、行動し、自分の生き方を見つめる旅」
(地域講師:菅野瑞穂 氏/きぼうのたねカンパニー代表取締役)
緑豊かな美濃市エリアでは、国土の7割を占める森林空間を、いかに持続可能に活用していくのか考える機会を提供しました。「できる限り脱炭素な手段で現地まで移動する」という課題もあり、参加者は車を相乗りして現地に集合しました。プログラムでは、日本発の森林総合教育センター「monoris(モノリス)」での木の伐採体験を行ない、参加者は木の伐採や運搬には、想像以上に体力や気力が必要だと身をもって学びました。参加者は、苦労して伐った木を目の前にして、市場に流通している木材の価値は正当なのか、疑問を抱いた様子でした。そこで、「伐採した木を価値相当で売る」という実践課題が出されるとともに、木の価値を最大にして売るためにはどうすればいいのか、真剣に考えました。
棚田や山、海と食資源豊かな佐渡市エリアでは、現地と参加者をオンラインで繋いで実施しました。人口減少や高齢化が進むなか、豊かな自然や生物と共生し続ける里山のコミュニティをどのように未来に継承するか、また、コミュニティの場を島内外に広げるためのアイデアやチャレンジについて、地域講師である豊田氏によるお話を伺いました。その後は、参加者に事前送付した佐渡産の棚田米を試食し、ワークショップでは、「棚田と関わりしろを生むための持続可能なアイデア」について意見を出し合いました。
伝統的な農林業や文化、地域独特の景観や生物多様性を持つ日之影町エリアは、世界農業遺産の認定を受けている地域にも関わらず、人口減少や少子高齢化に直面しています。プログラムでは、世界から認められた伝統文化や独自の暮らしを、未来にどう繋いでいくのか、持続可能な地域づくりについて考えました。当日は、参加者に事前送付した日之影産のジビエを試食したり、地域講師の田中氏からジビエの加工シーンを見せてもらうプログラムを実施しました。現地で活動を続ける田中氏の思いや信念に触れ、「サステナブルな暮らしを紡ぐ、私と日之影の一年間のカレンダーを作る」というテーマで、グループワークを実施しました。
現地実施だった浪江町エリアでは、東日本大震災による原発事故後も福島の農業を守り続ける農家の方々を訪ねました。農業体験をしながら農業経営のリアルなお話を伺い、放射能と向き合いながら農業を守る覚悟や、福島への思いに触れました。また、農業が多様な生態系を守り、命の循環に寄与していることや、資源の有効活用や食育にも繋がることを学び、「地域を支える食や農が、持続可能な未来をつくるためにわたしたちができること」について、互いの意見をシェアしました。
Day02では、地域のリアルに触れてもらうことはもちろん、地域が抱える課題に対して、「明日からでも自分にできることは何か」を考えてもらうことを大切にしました。現地参加者は木の伐採や農業体験、オンライン参加者は現地産の食を通じて、地域課題を自分事化できるプログラムとなりました。Day02で出されたテーマについては、Day03まで引き続き各グループ内で自主的にディスカッションを行ない、意見を出し合いました。



Day03:CULTIVATE(アイデアを育て合う)
オンラインで実施したDay03は、各地域での体験や学びを地域横断で共有するとともに、Day04に向けたグループディスカッションで提案内容を深めました。
また、Z世代のリーダーとして既に活躍している伊達ルーク敬信 氏(NPO法人UMINARI代表取締役兼CEO)をゲストとしてお招きし、講話をいただきました。実際に行動を起こし、活躍している同世代の話を聞くことで、参加者が思い描いている「いま自分にできること」を、より自分事化してもらうよう試みました。
Day04:CIRCULAR DEMODAY(挑戦の連鎖を生み出す)
Day04は、各グループによる提案の発表を行ないました。発表テーマは、「地域循環共生圏を実現するために今自分ができること」をベースに、各地域のテーマを織り込んだ内容としました。各グループ、Day03終了後も自主的にディスカッションを行なっており、各地域への思いがあふれる内容となりました。また、Day01で登壇いただいたメンターや、Day02での地域講師をお招きし、各発表後にコメントをいただきました。
発表では、地域の関係人口を増やすために、ご当地の料理を知ってもらう仕組みを考えたグループや、地域に関わる人にポイントを付与し、関係の濃淡によらず地域と関わりを持とうとする人を応援する仕組みを考えたグループなど、多種多様なアイデアが共有されました。
発表を聞いた地域講師からは、「ここにいる参加者みんなが発信して、ワクワクするような地域と交流するきっかけが作れたらいいですね。人の心を豊かにできる町づくりができたらと思います。」(管野氏)、「今後も活動を継続して、地元の人が見いだせないような地域の価値を見つけて欲しい」(豊田氏)といったコメントをいただきました。また、メンターからは、「参加者同士が友人になって自然発生的に、継続して新しいアイデアが生まれるのが理想だと思います」(佐藤氏)などのコメントもいただきました。
事業の成果
本事業の目的は、参加者がローカルSDGsや地域課題について理解を深めるだけでなく、「自分に何ができるか」を真剣に考え、地域や仲間との「関わりしろ」を見つけて今後の自主的・継続的な活動に繋げることです。そんななか、事業終了後の長期休暇を使い、Day02にオンラインで訪れた宮崎県日之影町を実際に訪れたグループがありました。さらに、美濃市エリアで学んだメンバーは、事業終了後も活動を継続しています。現在は、環境省主催の「migakiba」(ローカルSDGsリーダー研修)に全員でエントリーし、ローカルSDGsを実践し、挑戦を続けています。
参加者の声
- 日之影町やそこに関わる素晴らしい人と、同じような考えや思いを持つ、けれどきっと出会わなかったであろう仲間と出会えました。また、地域のこととか社会のこと環境のことなど、非常に遠くにあるように感じていたものも、「自分」から初めて話をすることで、自分が社会の一部であること、社会の構成要素が自分たちであることを実感しました。参加したメンバーで継続的に話を今でも続けています。将来的にはみんなでゆるゆるとpodcastとかからでも、身近なものと社会の話を色々な人と対話しながら、考えていきたいなと感じています。
- ローカルSDGsってなんだろう?説明を読んでも調べても、どこか他人事のように感じていたわたしがこの一年でこんなにも様々な地域と関わることになるとは思いませんでした。環境問題や社会の現状に向き合い、木の価値を伝えるにはどうしたらいいのかを皆で考える。日頃から好きだった自然や森を、いつもとは異なる視点で捉えたことで、解像度もぐんと上がりました。そして何より、森が好き!という熱いパッションを持つ仲間たちと出会い、さまざまな話をする中で地域との関わりしろや見える世界もどんどん広がりました。自分達の未来は、自分達で作ることができる。この研修をきっかけに、前より少し"自分が地球を生きている実感値"が高まった気がします。
- Circular Youth Campでは、短い期間の中でも、関心テーマに関する事前調査によってその課題への解像度を高め、現地フィールドワークを通してそれらを身体的な理解に落としていけた点が大きな学びでした。 また、CYCでは、異なる背景や持ち味を持つ仲間と出会い、社会性の高いテーマについて、一緒に話し合い、意見を交わせたことが何より楽しく、有意義な時間でした。(こうしたテーマについて話せる場が、普段の日常にはあまりないため貴重でした) CYCを通して得た学びや考え出したアイデアは、実際に実現したものもありますし、出会った仲間とは今も意見を交わしながら継続的に活動しています。 これからの展望としては、地域を軸に、人と自然との繋がりに気付ける機会づくりや、衰退していく地域産業を持続させられる新しい関わり方を具体的に形にしていきたいと思っています。
これは、熱量を持った参加者がメンターや地域講師と出会い、さらに地域の現状を目の当たりにしたことで、化学反応が起きた結果なのでしょう。参加者が見つけた「関わりしろ」が現在も継続し、未来への挑戦の礎になっていることに、本事業を実施した意義があったのではないでしょうか。

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