つながりにくい時代に、“仲間”をどうつくるか 3.5時間のインプロが生んだ、内定者たちのつながり
つながりにくい時代に、“仲間”をどうつくるか─3.5時間のインプロが生んだ、内定者たちのつながり

コロナ禍以降、学生同士や企業との接点が減り、内定者との関係づくりに課題を感じる企業が増えています。イシグロ株式会社でも、採用規模の拡大に伴い、一人ひとりへの丁寧なケアや内定者同士の交流促進が新たな課題になっていました。そこで、即興演劇を通じてコミュニケーションやチームワークを学ぶミテモの「インプロを活用した内定者フォローワークショップ」を導入しました。本記事では、導入前の課題感から当日の様子、実施後の変化、今後の展望までを紹介します。

ケーススタディ概要
会社名
イシグロ株式会社
対象
内定者 50名
課題・背景
採用規模が従来の倍に拡大し、担当者が一人ひとりに寄り添う従来の体制が限界を迎えた。手厚いフォローを続けながらも、会社理解・内定者同士の交流・社会人としてのマインドセットの醸成——その三つを同時に実現できる場が新たに求められていた。
目標(ゴール)
- 日常のコミュニケーションを客観的に見つめ直し、失敗が学びになると実感しながら互いに高め合える関係性を築く
- 社会人としての関わり方や、今の自分にできるサポート・貢献の仕方に気づく
- プロフィールではわからないお互いの素の人柄を知り合う
提供したサービス
- 事前ヒアリングをもとにしたワークショップの企画・設計
- 当日までの準備サポートと顧客フォロー
- 当日のファシリテーション・運営(3.5時間)
ミテモのアプローチ
- 評価なし・全員参加・まずやってみる設計
- 即興演劇の手法で信頼関係と実践知を同時に体験
- 知識インプットではなく「腹落ちと実践」を短時間で実現
採用が拡大するほど、遠くなる内定者との距離
イシグロ株式会社では、これまでも内定辞退の防止や内定者フォローに力を入れてきました。採用人数が今よりも少なかった頃は、内定者の不安を払拭するために、社員との面談や内定後の懇親会などを通じて学生が社員と接点を持つ機会を設けていたそうです。しかし新卒採用人数が倍になったことで、同じ密度でのフォローは難しくなっていきました。
坂本さん:これらのような手厚いフォローだけでなく、内定者の不安を払拭したいという想いもありました。事前に会社について理解を深めてもらうことや、内定者同士の交流を図ることが、働くことへの不安を和らげるとも思っています。さらに内定後の期間を通じて社会人としてのマインドセットを育みたいという狙いもありました。
その後、みなさんは複数の研修を比較検討したそうです。その候補には、知識共有型の集合研修や、Z世代対応を含むプログラムなどもありました。その中で重視していたのは、単に知識を教えるだけではなく、内定者自身が主体的に参加できること。そして、企業側が内定者を一方的に評価する場ではなく、安心して関係性を築ける場であることでした。
北川さん:私たちは普段「研修」というと「評価する」ということをしがちですが、あえて評価を行わない研修を検討していました。多様な学生を採用すると、自分から積極的に発言し、動く学生だけではありません。全員参加型でなおかつ動ける研修であることを望んでいました。
最初は戸惑い、でも「やってみよう」——意思決定の舞台裏
イシグロ株式会社の担当者にとって、インプロ=即興演劇を活用した研修は、当初からすぐにイメージできるものではありませんでした。ミテモとの取り組み自体は以前から継続していましたが、普段の研修とは異なる形式であるからこそ、最初は戸惑いもあったといいます。導入の決め手となったのは、内定者同士の交流促進、社会人としてのマインドセット、会社理解といった複数の目的を同時に満たせる点でした。比較検討した他の研修にも魅力はあったものの、すべての課題に応えられるものは見当たりませんでした。
坂本さん:正直最初にご提案いただいた時は、ピンとこない部分もありました(笑)。ですが、具体的な研修動画を見せていただいたことで流れを理解していきました。また、内定者研修は入社後の研修などと違って“絶対にやらなければならないもの”ではない、プラスアルファの要素だと思っています。なので我々としても「どんなふうになるんだろう?」と期待しながら取り組むことができました。
参加者が実際に身体を動かし、他者と関わるインプロだからこそ、面接だけでは見えなかった内定者の人柄やキャラクターを知る機会にもなると感じていました。さらに、イシグロ株式会社が持つ「新しいことに挑戦する社風」ともインプロワークショップのあり方は重なっていました。
前田さん:研修として本当に成り立つのか?という不安はありましたが、坂本からの強いプッシュがあったので、それならぜひやってみようという声があがりました。集団の中で参加者に実際に動いてもらい、コミュニケーションをとってもらうことで採用面接の時だけではわからないその人のキャラクターを理解できるとも感じました。

北川さん:経験のない研修でしたが、イシグロ株式会社として、新しいことに興味を持ちチャレンジしていこうという社風もこの研修を選んだ背景にあると思います。新しいことに積極的に挑戦する会社だから、学生にも同じように挑戦してみてほしい。そんな社風ともマッチし、「とりあえずやってみよう」という前向きなプロセスを経て導入が決定しました。
新しいことに挑戦できる社風も後押しする一方で、意思決定の背景には担当者の「学生と企業は対等な関係であり、企業側も学生から選ばれる立場である」という強い考えがありました。
坂本さん:学生と企業は対等な立場だと考えています。我々が内定者を選ぶように、学生も企業を選んでいるんです。研修を通じて、我々のことを「いいな」と思ってくれる内定者が増えてくれることを望みました。
知らなかった顔が見えた——担当者が感じた、3.5時間の手応え
研修当日は、イシグロ株式会社の担当者3名に加え、入社後の研修を担当するメンバーも参加しました。進行はミテモが担ったため、企業側の担当者は内定者の様子や表情、人柄の観察に徹することができました 。研修の内容について事前にミテモへ依頼していたのは、「既存のグループ内だけで交流が完結しない設計」でした。イシグロ株式会社で毎年行われている内定者向けの夏や秋の懇親会では、どうしても半数ずつの参加となり、内定者全員が十分に関われないという課題があったためです。
そのため研修では、名刺交換を取り入れたワークなど、ランダムに人と関わる仕掛けが用意されました。固定されたグループに閉じるのではなく、内定者同士が自然に声をかけ合い、関係性を広げていくことが意図されていました。
坂本さん:担当者と学生では、どれだけコミュニケーションをとっても一定の壁があるように感じます。しかし内定者同士で交流をすると、担当者からは見ることができなかった顔が見えてきます。これは入社後の研修や配属にも参考にできると感じました。
3.5時間で完結する研修を実際に見たことで、参加者の様々な変化に気づいたといいます。
前田さん:始める前と比べて内定者の表情がガラッと変わっていたことに驚きました。座学やディスカッションをするよりも、笑顔の多い関係性ができていると感じます。和気あいあいとしていて、お互いのことを理解しているような。その後、役員も交えて食事会をしましたが、役員も飾らない人柄の方が多いので、この「飾らない朗らかな人柄=イシグロのキャラクター」が、内定者と役員で共通して持っていられたと思います。
北川さん:実際に身体を動かす研修ですが、最初はぎこちなかった内定者が最終的に動けるようになるまでの変化がすぐに目に見えました。8月の懇親会、10月の内定式と12月に実施した今回の研修までに内定者のキャラクターをおおよそ理解していたつもりでいましたが、この研修では全く違う一面を見ることができました。

ミテモ側も、即興演劇という初めての体験を通じて、内定者の素の表情やコミュニケーションを引き出すことを重視していました。形式的な受け答えではなく、試行錯誤の中でその人らしさが表れる場をつくることが、ワーク設計のねらいでした。また、研修の中盤には“失敗”をテーマにしたワークも取り入れられました。失敗を避けるものではなく、仲間と一緒に受け止め、学び合うものとして体験することで、場の空気が大きく変わっていったといいます。
ミテモ増田:ほとんどの人にとって即興演劇は初めての経験だと思うので、試行錯誤を通じて素の表情を引き出すことができる研修だと思っています。面接のようなフォーマルな場ではなかなか見えない表情や姿を短時間で見ることができました。私も驚いたのですが、3.5時間後には教室の外からでもわかるほどコミュニケーションの量が増えていましたね。
ミテモ堀:研修の真ん中くらいの時間に、“失敗”をテーマにしたワークを用意しています。『失敗してもいい』という心理的ハードルを下げることで、失敗が起きて楽しいということを学ぶ時間になっています。失敗は仲間を蹴落とすものではなく、共に学び合い、フォローし合うものだと理解いただけてからは、内定者の空気感ががらりと変わる感じがしました。
「この会社で頑張ろう」が生まれる場へ——内定者研修のこれから
研修後のアンケートでも、内定者からは「失敗しても大丈夫なのだと感じた」という声が寄せられました。単なる知識の習得ではなく、入社後の心の支えとなるような気づきを得る機会になったことが、継続意向にもつながっています。今後の展望や研修への意欲について担当者に話を聞きました。
坂本さん:今後内定者に関する課題が大きく変化しない限り、継続して導入したいと思っています。入社後に役立つ特定の知識を活かして欲しいわけではなく、このような物事の見方や気づきを得るきっかけになればいいなと思っていたので、ぜひ今後も続けていきたいです。

実際に、入社後の場面でも研修の効果は表れていたそうです。内定者同士が入社式当日から自然に打ち解けていたことに、入社後の導入研修の講師も驚いたといいます。入社前から「気軽に話せる仲間がいる」という感覚は、社員のエンゲージメントや定着率に直結する土台です。ミテモは、こうした人と人との関係性そのものを「心の資本」と位置づけています。
前田さん:この会社で一緒に頑張る仲間の存在を知る機会が「この会社で頑張っていこう」という気持ちにつながっているようにも思えます。懇親会だけではなく、このような研修で、このような変化を見ることができるのはとても良いと思いました。
イシグロ株式会社ではミテモからの提案やアップデートを受けながら、内定者研修のさらなる活用を検討しています。
坂本さん:内定辞退防止や、内定者の理解に悩んでいる企業さんには非常におすすめです。その他にも内定者に企業のエッセンスや社風を理解してもらいたいと思う企業さんにも活用できると思います。
イシグロ株式会社における今回のインプロワークショップ研修は、単なる内定辞退防止策にとどまらず、内定者同士の心理的な距離を縮め、社風を体感してもらう有効な機会となりました。
こうした取り組みは、イシグロ株式会社に限った話ではありません。採用規模の拡大に伴い、一人ひとりへのケアが難しくなる中でも、内定者同士のつながりや、入社に向けた前向きな気持ちを育むことはできます。新卒採用の現場において、内定者が安心して社会人への第一歩を踏み出せるような研修を検討している方は、ぜひミテモにご相談ください。
会社紹介
イシグロ株式会社は、バルブやパイプをはじめとする総合配管機材の専門商社。1939年(昭和14年)の創業以来、水や空気の安定供給を支えるインフラを暮らしと産業の両面から支え続けてきた。全国60拠点のネットワークを擁し、グループ連結売上高1,092億円(2025年4月期)を誇る管材業界のリーディングカンパニー。
業種:卸売業(配管機材)
従業員数:1,541名(グループ全体)
※記事の内容および社名・所属等は取材時点のものとなります。

講師からひとこと
評価しない・全員参加・まずやってみる──インプロが生む関係性の力
「内定者同士の関係性構築」「イシグロさんが大事にしている社会人マインドの理解」これを50名近い規模でやることをイメージした時に、直感的にインプロというアプローチをご紹介したいと思いました。評価をしない・全員参加型・まずやってみるという設計要素が、チャレンジを推奨するイシグロさんの社風とも響き合うと感じたことも、おすすめできた理由の一つです。
入社式時点で「すでに仲間意識がある」と言われたというエピソードから、「共に働く仲間との関係性づくり」の原体験として機能しているのではないかと実感しています。内定者研修は、内定者同士の交流もさることながら、会社側と内定者がお互いの理解を深め、共に働くイメージを膨らませていく機会としても、エンゲージメント向上の観点から重要性が高まっていると感じています。内定辞退や離職に悩む担当者様と、この会社で・この仲間と働いていきたいと思えるような場づくりについて是非探求していきたいと思っています。
営業担当からひとこと
「この仲間と働きたい」と思える場を、一緒につくりませんか
「内定者同士の関係性構築」と「社会人マインドの理解」、この二つを50名近い規模で実現するアプローチとして、直感的にインプロをご提案しました。評価をしない・全員参加型・まずやってみるという設計が、チャレンジを推奨するイシグロさんの社風とも響き合うと感じたからです。入社式時点で「すでに仲間意識がある」と言われたエピソードは、この研修が共に働く仲間との関係性づくりの原体験として機能した証だと実感しています。内定者研修は交流の場であると同時に、会社と内定者が相互理解を深め、共に働くイメージを膨らませる機会としてエンゲージメント向上にもつながります。内定辞退や離職に悩む担当者と、「この会社で・この仲間と働きたい」と思える場づくりをぜひ今後も一緒に探求したいと思っています。

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