「栄養と健康を主体的に考える」企業理念浸透のための映像教材制作~第一歩は社員自身のウェルネス向上~ | ミテモ株式会社

「栄養と健康を主体的に考える」企業理念浸透のための映像教材制作~第一歩は社員自身のウェルネス向上~

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ミテモはさまざまな企業への研修の実施や、研修教材の制作などを数多く手掛けている。研修の実施においては、インストラクショナルデザインの代表的なプロセスモデルであるADDIEモデル*1をベースに、研修を企画するための現状分析、それをもとにした設計、開発、実施、その後の評価を行っており、そこで培ってきたノウハウを生かして、企業の研修・人材開発部門の研修内製化の支援も手掛けている。

今回は多様化する食のニーズやライフスタイルの変化に応え、体に良くて美味しい製品・サービスの提供を目指す味の素株式会社様(以下、味の素)の映像教材制作を支援した。

1:ADDIEモデルとは、学習の目標を達成するために必要な学習活動を分析・設計・開発・実施・評価の5つのフェーズとして定義したモデル

ケーススタディ概要

ケース

味の素株式会社 社員のみなさま

目標

・従業員の栄養リテラシー向上による、ウェルネス(こころとからだの健康)の実現
・食・栄養に関する興味・関心を喚起し、ボトムアップを図る
・従業員の多さから研修開催が困難。いつでも、何度でも視聴できる動画教材を作成する

提供したサービス

栄養リテラシ―映像教材制作

味の素は「Eat Well, Live Well.」をスローガンに、食品だけでなく、ヘルスケアなど、多岐にわたる事業を展開している企業です。アミノ酸の研究・開発で世界的なリーダーシップを発揮しながら、国内だけでなく世界各地にグループ企業や工場を持ち、事業を通じて様々な社会課題の解決に取り組んでいます。

そんな味の素で推し進めているのが、従業員の栄養リテラシー向上の活動です。今回は「栄養教育」をテーマにした映像教材の作成をミテモに依頼。教材制作を担当したサステナビリティ推進部ウェルネス・栄養グループの石﨑さんと網谷さんに感想を伺いました。

※飛沫感染防止対策として、十分な間隔を保ったうえでインタビューを実施いたしました。

押し付け型の教育は「興味を持ってもらえない」

――まずは網谷さんと石﨑さんがどのようなお仕事をされているか、教えてください。

網谷さん:私がサステナビリティ推進部ウェルネス・栄養グループに異動してきたのは2020年の11月です。現在は、従業員の栄養リテラシー向上のための教材制作と普及活動を担当しています。石﨑さんは私の上司です。

――味の素さんは栄養について高い意識を持たれていますよね。すでに研修用の資料も社内で準備されていたと伺っていますが、何か課題をお持ちだったのでしょうか?

網谷さん:味の素グループは2030年に「食と健康の課題解決企業」になると宣言しています。その実現に向けて従業員の栄養リテラシー向上が必要と考えていました。ただ「栄養の勉強をしていきましょう」と呼びかけても、一方的な押し付け教育になってしまう。それでは興味・関心を持ってもらえず行動に繋がっていきません。そこでプロの力を借りようと何社かにアプローチさせていただき、その中からインソース(ミテモの親会社)さんにお願いしようと思いました。

――他社ではなくミテモに決めたのは、何か理由があったのでしょうか?

網谷さん:理由は3つあります。まずコロナ禍においてオンライン研修の実績が多くあり、様々なノウハウをお持ちだったこと。2つ目は複数回にわたる打ち合わせの中で、ミテモさんの強みを明確に示してくださったこと。3つ目はすでに当社が作成した教材を「どのように活かして新しい教材をつくるか」というスタンスで相談にのってくださったことです。契約書や秘密保持の問題、弊社の細かなルールに対しても契約窓口となったインソースさんが前向きに寄り添い、考えてくださったことが大きかったですね。

密なコミュニケーションの中で「つくりたいもの」が精査されていった

――最後には「映像教材」という形になりますが、まだ形になっていないものを「こんなふうにつくりたい」とミテモに伝えるのは大変だったかと思います。希望をブレなく伝えるために、何か工夫されたことはありますか?

網谷さん:パワーポイントで作成した数十枚ほどの資料があり、その資料をベースとして、簡潔で分かりやすいストーリー仕立ての教材をつくろうと思っていました。資料を用いて行った研修の録画動画を共有し「このくらいのテンポで」「このスライドは必ず必要」「このセリフは入れてほしい」という形で具体的にお伝えしました。

――完成した映像教材では2人の人物が登場し、会話しながら話が進んでいきますよね。こうしたイメージは、制作前からすでに持たれていたのでしょうか?

網谷さん:確固たるイメージがあったわけではなく、ミテモさんにたくさんアイデアをいただく中で「これはちょっと違う」「これはこうしたい」と伝えていきました。会話ではなく文字で伝えることで頭の中が整理され、提案に応えることで「つくりたいもの」が明確になりましたね。密なコミュニケーションのおかげだと感じます。

石﨑さん:私たちの伝えたいことは、ある程度、頭の中にありました。ただそれをクリエイティブの世界でどう表現したらいいのかは、分からなかったんです。ミテモさんは事例やアイデアで「こうですか?」と具体的に示してくれるので「どんな形で表現したいか」が、コミュニケーションの中で分かってきましたね。

――今回の映像教材は演出以外に「スライド構成」も大事なポイントだったと伺っています。ミテモとのやり取りを振り返ってみて、どんなことが印象に残っていますか?

網谷さん:今回、スライド構成が最大のポイントでした。教材は導入部分、栄養の基礎を学ぶ第一部、ビジョンの理解を深める第二部に分けていますが、この一部と二部の繋がりを意識してもらえるように仕立てることが重要でした。二部には一部とテイストの異なる、弊社の独自素材を挿入しますので、それらをひとつの作品として統一感のあるものにしなければならない状況でした。

――そのお悩みについて、ミテモからはどんな提案がありましたか?

網谷さん:すべての素材に統一感が出るよう、吹き出し型のスライドデザインを提案してくださいました。私自身も既存の数十枚のスライド作成に携わっており、それが出来上がった当時は「やりきった!これが完成版だ!」と思っていましたが、プロの手が加わると、ここまでシンプルになるのかと驚きました。私も把握していなかった弊社作成の冊子や報告書から「これ使ってもいいですか?」と素材使用許可の確認をしてくださったこともあり、もはやどちらが味の素の社員か分からなかったです(笑)その誠実で丁寧なお仕事ぶりに何度も感動しました。

吹き出し型のスライドデザイン

「何を求めているのか」を明確に言語化する工夫で、認識のズレを調整

――教材の中では、イラストも200点ほど使われています。イラストレーターさんに描いてもらったと伺いましたが、こだわりなどはありましたか?

網谷さん:クオリティ、統一感にこだわりたいという思いがありました。当初、ミテモさんにご提案いただいたイラストレーターさんのイラストは、私が思い描くイメージと合致していなかったんです。ただイラストレーターさんにはそれぞれの個性があります。その個性を崩すことなく、こちらの思い描く作品に近づけるにはどうしたらいいか、話し合いをさせていただきました。

――認識のズレは、最終的に解消されたのでしょうか?

網谷さん:解決の方向に進んだのは、ミテモさんがコミュニケーションの工夫をしてくださったからです。イラスト制作前に「どこがこだわりポイントで、どこを外してほしくないのか」を言語化する方法を提案してくださいました。色付け前の下書き段階で一度確認を入れ、修正の機会を設けることで、手戻りが少なくなりました。徹底的にこだわりながらも、納期に間に合うように、様々な工夫をしてくださいました。

――イメージの共有は、本当に難しい作業ですよね。

網谷さん:そうなんです。私自身、「これ、かわいい!」「いいね」など、抽象的な言葉を多用し過ぎていることを痛感しました。何をどんなふうに「かわいい」と思っているのか。何が良くて「いいね」と思ったのかを言語化する。言葉選びは毎回苦戦しましたが、良い学びとなりました。

――今回網谷さんは、声優さんのレコーディングにも参加されていますよね。どの声優さんにお願いするか決める段階から、味の素さんではかなり話し合いが行われたとお聞きしましたが…

網谷さん:声優さん選びは三者三様の意見が出て、社内でも白熱しましたね。登場人物は男女ですが、ナレーションも女性なので聞き分けができるよう違いをはっきりさせるべきではないか?から始まって。特に男性キャラクターの声音をどうするか、については話し合いが難航しました。営業としてバリバリ働いているけれど、栄養の勉強は初めて。最初は栄養に興味がないけれど、徐々に知識を身に付けていく、主人公のその変化を魅力的に表現するためには、正統派より特徴的な声がいいのでは?という意見がありました。最終的にはミテモさんがメールで提案してくださったアイデアと、社内の意見が一致しました。

石﨑さん:声の起用は迷います。僕はミテモさんの提案を聞いて「引っかかりのある声でないと、見る人の心に響かない」という制作側の意図、観点があるのだろうと感じました。意図があっての提案は受け入れるべきだと思ったんです。きれいすぎるクリエイティブは印象に残らない、という原則はあると思います。

始まったばかりの栄養教育。行動変容のサポートができるよう、教材を最大限に活かす

――できあがった教材を見た、最初の印象について教えてください。

網谷さん:想定以上にアニメーションが多くて驚きました。キャラクターは画面左下と右下にいるだけと思っていたのですが、手が動いたり、目がパチパチしたり、効果音がついていたり。すごく印象的でした。「このスライド、たくさん議論したなぁ…」と制作過程の様々な場面が蘇ってきましたね(笑)。約50分の長い教材ですが、会話調でテンポよく話が進み、見飽きない仕上がりになっていると思いました。

石﨑さん:僕は「上からの押し付け教育にならないように」という思いで内容を確認しました。その意味で意図と合っているものが完成した、と感じました。部分的に説明口調になっていないか、言葉とスライドが合っているか、整合性がとれているかも確認しましたが、あったのは「望んだものができた」という安心感でしたね。

――味の素さんとしての、ご自身としての、今後の展望について教えてください。

網谷さん:栄養は身近でありながら複雑な分野だと思います。当たり前と思っていたことも、興味関心のない方からの質問や意見にハッとすることも多くて。その奥深さに私自身が魅せられていると改めて感じます。これから、この映像教材を最大限に活かしていくことが私の役目。会社としての栄養教育は始まったばかりで、ここからがスタートです。これを機に食や栄養に興味関心を持つ従業員が増えるといいなと思っているので、行動変容のサポートができるよう頑張っていきたいです。

石﨑さん:食品会社はもっと、栄養のことを考えていく必要があると思っています。どうしても「おいしくあること」を優先してしまうんですね。ただ今後はサステナブルを考慮しながら活動していかなければ生き残れません。おいしくて栄養バランスの整った食生活に貢献していくためには、まず自分たちが栄養を知る。自分に合った食事とは?何を食べるか?社員自らが考えて行動することで自然に会社のパフォーマンスも、本人のパフォーマンスも上がっていくと思います。この活動は日本を起点に、グローバルに推進していくつもりです。日本としての好事例をこれからつくっていきたいですね。

プロデューサーからひとこと

今回のプロジェクトにはご提案段階から完成まで関わらせていただきました。この案件の最大のポイントはご担当いただいた網谷様の「熱意」と「気配り」です。
「熱意」・・・制作スタート時から「社員ひとりひとりが食・栄養に関する興味・関心を持てるような教材にしたい」というまっすぐな気持ちが私たちにも伝わり、その熱い思いを形にしていこうという連帯感が自然に生まれました。
「気配り」・・・制作過程の作業のひとつひとつに対して的確な指示だけでなく、心のこもったメッセージや評価をいただきました。お客様の声を直接聞く機会が少ないイラストレーター、声優、音響、編集者など各担当者に届けることで、ますます連帯感が広がっていったように感じます。
「熱い思いは人を動かす」と改めて感じるとともにこのプロジェクトに関わらせていただいたことを嬉しく思っております。

デザイナーからひとこと

わたしたちはデザインを通して教材に2つの価値を付加しています。
ひとつは、動画を視聴して多くのこと学習する受講者の理解を助けるために、画面を見たときの認知負荷を下げることです。全編通して統一されたテンプレートデザインや、判読しやすいテキストレイアウトなどがそうです。
もうひとつは、動画を飽きずに見られるよう魅力的にする演出です。学習をナビゲートするキャラクターや、いきいきしたイラストを各所に登場させています。 本教材の制作では、これらを内容に合う形で実現させるために詳細なヒアリングを行いました。ご担当者様が深く制作に関わってくださったお蔭で、いっそう受講者思いの教材に仕上がったと感じております。ご担当者様の多大なご協力に感謝いたします。

【企業紹介】