「小さな物語」である伝統工芸が海外進出するための生存戦略の考察 - ミテモ株式会社

「小さな物語」である伝統工芸が海外進出するための生存戦略の考察

  • {{tag.name}}

  • {{tag.name}}

  • {{tag.name}}

  • {{tag.name}}

本コラムでは、日本の伝統工芸がおかれている現状と問題点を中心に、「伝統工芸の生存戦略」について簡潔にまとめて考察しております。

この内容を踏まえたミテモの取り組みについては、こちらのアーカイブからご覧いただけます。

伝統工芸のおかれている現状と問題点

そもそも、日本の伝統工芸は今どのような状況に立たされているのでしょうか。実際の動向を見ていきたいと思います。

こちらのグラフは一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会から出されているものです。伝統工芸の生産額・従業員ともにピークであった昭和58年時に比べてかなり減っていることがおわかりいただけると思います。
また、ここ40年程で工芸を取り巻く環境にも、次の3点についてかなり大きな変化がありました。

  • ①「生活者の価値観の変化」
  • ②「流通形態や地域商圏の変化」
  • ③「海外進出・インバウンド対応」

詳しくはアーカイブにて年表形式でまとめておりますので、興味のある方はそちらをご覧ください。

時代の流れと「生活者の価値観」の変化にもとづく、「モノ」の変遷

先ほど「生活者の価値観の変化」についてあげました。これを簡潔にまとめると、生活者が重視するものが「モノ」から「体験(コト)」、そして「意味」へと変化してきたということが言えるでしょう。

バブル期に代表される日本の代表的な経済成長期である1980年代前後は生活ニーズを満たすことが最優先とされてきた時代です。それは、70年代に達成された「国民一億総中流社会」に代表されるような、とにかく中流の生活を送るために必要なものをテレビや新聞などの数少ない情報を元にして横並びに揃えようとしていた時代といっても過言ではありません。

しかし、生活ニーズが満たされてもバブルが弾け、停滞感や閉塞感と共に「みんなと一緒である」ことに飽きた消費者たちが次に求めるものはデザインや洗練性、あるいは、ブランドシンボルといった、個人の単純な充足感に関係するものになります。ちょうど、デザイン家電などが流行り始めたのがこの時期に相当します。

やがて2000年代に入り、デザインやシンボルを「自分」と「他者」との差異や類似などによる関係性に基づいて暮らしの中に取り入れていく傾向が生まれてきます。「大量生産で画一的な商品」を扱わない、セレクトショップやコンセプトショップの台頭がこれに当たるでしょう。ライフスタイルという「体験」をまるごとパッケージ化して扱う小売が増えてきたのです。実際、この時期にまさしくライフスタイルの提案をしている中川政七商店が売り上げを伸ばしております。

では、2020年代の今はどういう状況になっているのか。ここ20年の間にリーマンショックや東日本大震災、または新型コロナウィルスの世界的流行などの人々の生活の根幹を揺るがすような大きな出来事が断続的に起きてきました。これらの出来事は人々に対して「人生の価値観とは何か」を問いかけるようなものであり、より多様な人生観を生み出すきっかけでもありました。そのような中で、今まで他者と比較することで「他人とは違う自分・個性」を求めていた生活者は、「いかに自分が納得のいく『意味』を感じる瞬間を過ごせるか」という考えを「モノ」に見出そうとするようになったのではないかと考えられます。

具体的に工芸品に例えて説明いたしますと、「モノ」を作った職人や「モノ」自体が持つ背景や物語、ここでいう「工芸品のもつ意味」をしっかりと理解して選択し生活に取り入れることで、より一層豊かな「意味」のある人生を送りたい。そう考える人々が増えたのではないでしょうか。

社会学でいうところの国家や国民で共有していた「国民一億総中流社会」のような「大きな物語」が冷戦やバブル経済の終焉によって意味を失い、個人それぞれが人生として選び紡いでいく無数の「小さな物語」によって世界が形作られるようになりました。それは、誰かと同じになるためにモデルケースを追うのではなく、自分自身で生活や人生に責任をもって取捨選択していく営みになります。しかし、だからこそ多様性が生まれて尊重され、世界に彩りができるのです。

これらの動向を踏まえると、現代社会において伝統工芸を提供する側は「モノの持つ意味や価値」を適切に発信し、生活者の琴線に届ける必要があります。

伝統工芸の持つ閉塞感を打破するために、社会とつながる

ここまで、国内の価値観の変容について分析を進めてまいりました。では、国内のみならずあえて海外進出にも取り組むことの意義とは何でしょう。それを考えるにあたって、①国内市場の縮小と②海外のラグジュアリー市場の成長との2つの要素に着目する必要があります。

この2つの要素についての分析結果はアーカイブにて詳しく説明しておりますので、ご興味のある方はご覧いただきたいと思います。

近現代において資本主義の台頭に伴う消費社会の行き過ぎた拡大に対する反省からフェアトレードやSDGsという概念が世界的に共有され始めたように、「手で作られたモノ」や「使い捨てられないモノ」という特徴をもつ伝統工芸の価値が、相対的に上がってきている流れが今日まで続いています。また、モノを作る人に対して消費者や仲買人が対等であることも求められるようになりました。よって、伝統工芸の持つ「手仕事」を世界市場に向けてしっかりと接続させることで、「価値」を感じていただける方々に適切にお届けしていくことが非常に重要になるかと考えております。

そもそも、世界の工芸市場自体が2022年から2027年の間に毎年10%ずつ伸びる、というレポートが出されております。この数字は、この市場に大きな成長がみられることを意味しています。その中でも、富裕層向けのラグジュアリー市場についてもまだまだ大きく伸びていく予想がなされていることが、レポートから読み取れます。さらに注目すべきは、販売形態の割合です。レポートの中で、ラグジュアリー市場において2023年までに総収入の22.4%がオンライン販売によって生み出されるのではないか、と予想されています。

このことは、地域の生産者や伝統工芸の職人側からするとチャンスが広がってきていることを意味しています。高級品がインターネットを通して気軽に世界中のどこからでも購入される(=世界中の「小さな物語」にも影響を与えられる)土壌ができたことで、地域側は伝統工芸を世界中に売り出すことができるようになったのです。

本コラムにおいて紹介いたしました背景を元に、海外のラグジュアリー市場における「Craft」(=伝統工芸)の台頭や、我々ミテモがどのように伝統工芸の生存戦略を立てて実行に移しているのか、こちらのセミナーアーカイブにてご覧いただけます。

弊社の物語に何かしらの「価値」や「意味」を見出してくださった方は、ぜひお問い合わせください。