2つの企業の想いを、1つの理念に〜若手・中堅社員チームで創る ハウスギャバン企業理念策定プロジェクト〜 - ミテモ株式会社

2つの企業の想いを、1つの理念に〜若手・中堅社員チームで創る ハウスギャバン企業理念策定プロジェクト〜

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ケーススタディ概要

ケース

ハウスギャバンの企業理念策定プロジェクト

ミッション

2023年4月の新会社発足にあわせて、新たな企業理念を策定する

ミテモの支援内容

プロジェクトの全体企画・設計の支援
プロジェクトチームメンバーによる理念検討プロセスの企画、ワークショップのファシリテーション
コピーライターによる理念文案提示を通じた、最終成果物の作成支援

体制

ハウスとギャバン出身各6名、合計12名のプロジェクトチーム

期間

2022年9月にプロジェクトスタート、2023年4月に最終報告、6月に社内お披露目

プロジェクトの進行経緯

ハウス食品株式会社の業務用食品事業が2023年4月より株式会社ギャバンに承継され、ギャバンの商号は「ハウスギャバン株式会社」に変更されることになりました。この新会社発足に向けて、およそ半年前の2022年10月より、ハウス食品・ギャバン両社の若手・中堅社員によって新会社の理念策定を行うプロジェクトが始まりました。ミテモは、およそ6か月間にわたりこのプロジェクトの設計、複数回にわたるワークショップの実践に携わり、さらには理念文案の策定をつうじて、最終理念案の言語化まで、本プロジェクトに並走しました。本記事では、プロジェクトの 事務局メンバーの石井さん、杉岡さん、そして本プロジェクトにメンバーとして実際に参加された佐々木さんにお話を伺いました。

理念を自分ごと化させるために

――ハウス食品の業務用食品事業では カレーやシチュー等の業務用製品やケアフードなども取り扱い 、一方でギャバンではスパイスをメイン商材として扱っていました。同じ業務用製品とはいえ、これまで歩んできた背景・強みが違う 両社の社員が、一緒にひとつの理念を作ることはとても難しいことのように思えます。そんな難しい課題に対して、経営者自身が理念を策定しまうのではなく、それぞれの会社の社員を集めてプロジェクト型にした理由は何だったのでしょうか?

杉岡さん:一番は生駒社長の強い想いからです。統合前、社長はギャバンの社員が自社の企業理念をよく理解しているのは、「ギャバンのブランドミッションを社員自身が作ったから」だと気づきました。社員の企業理念の浸透には、社員自身が企業理念策定に関わることが大きく影響すると感じたそうです。そのため今回の統合においても、社員、特に今後のハウスギャバンを創っていく若手・中堅社員に策定してもらいたいという思いがありました。

石井さん:プロジェクトを発足するにあたり、企業理念に対して“当事者を1人でも多くする”という考えがありましたね。

――このプロジェクトには、ハウス食品とギャバンからそれぞれメンバーが選出したそうですが、どのような基準でメンバーを選出したのですか?

石井さん:若手・中堅メンバーをメインに入れながら、バランスよく男女・職種・職場がバラけるように12人選出を行いました。参加メンバーの規模感は 事前にミテモさんにも相談していて、進行しやすい妥当な人数だと言っていただけたので安心して進行できました。

議論が“混乱期”に陥った時は…?

――参加メンバー同士を知るキックオフから始まり、社歴の調査、社員・経営層・取引先へのインタビューなどインプットの段階を経て、理念の言語化、仕上げのコピーライティングと、かなり密度の高い6ヶ月だったと思いますが、大変な時期などはありましたか?

杉岡さん:はい。「混乱期」と呼べるような時期がありましたね(笑)

佐々木さん:ステークホルダーの方々へのインタビューや社史を知り議論を進める中で、これだけ沢山の想いを理念に集約できるのか、とても不安になりました。

杉岡さん:そんな時、ミテモさんから「今はそういう時期だから大丈夫」と言われました。集約できない不安から議論を急ぎ、結論を早く出してしまいそうになる時もありましたが、ミテモさんからその都度ストップをかけていただけました。そして、そうするうちに自分たちで事前に決めた「モヤモヤしたら立ち止まる」というポップアップルールの実施が出来るようになりました。
ミテモさんは私たちの進捗を見ながら進めてくれていたので、議論を止められても「今は立ち止まって良い時期なんだ」と事務局としては逆に安心できました。6ヶ月という短い中で大枠ずれずに進行できたのはミテモさんのおかげだと思いました。

――理念策定のようなプロジェクトにおいて、“混乱期”は通過しなければならないものなのですね。

杉岡さん:はい。メンバーは先が見えない、議論が進まないことに対するストレスはあったと思います。しかし、ここで議論をし尽くした期間があったからこそ、最後のキーワードを絞ることが出来ました。必要なプロセスだったと思います。

佐々木さん:参加者側として、最初は「意見をしなければ」という焦りや、「私が意見してもいいのか?」という不安がありました。議論を重ねていくうちに、より新会社の為にという想いが強まっていき、チームとして議論を尽くせるようになっていったと感じます。

杉岡さん:外から見ていても「今日、あの人は発言しないかもしれない」と思うと、こちらから話を振ったりしていましたが、次第にメンバー同士で話を振って議論できるまで変化していました。

議論が生まれる場の作り方

――そんな混乱期を経て、議論ができる基盤がしっかりと作られていったのですね。議論を突き詰めていく中で印象的だったことはありますか?

佐々木さん:私はメンバーとして参加していたのですが、最後に理念を言語化するところで「スパイス」というワードを入れるかどうか議論したことを特に印象的に覚えています。

――スパイスをメインにしてきたギャバンにとっては「命」のような「スパイス」。しかし、ケア食なども届けるハウス食品にとってスパイスというキーワードは、届ける人とのイメージの乖離があったのですね。

佐々木さん:でも議論を突き詰めていくと、「食に携わるすべての人に」や、「美味しさや感動を届けたい」という想いは一緒だということが分かってきました。スパイスという表現に関しては、「スパイス」が連想できるような表現を使いつつ、今後の販売領域をさらに拡大していきたいという考えで「味と香り」という表現にしました。

――最終チームに分かれてのディスカッションの中では、ハウスギャバンにとってのプロフェッショナルとはどんな存在なのか?プロフェッショナルとどんな関係を取り結ぶことで、最終的な価値創出につなげるのか?最終消費者に届けたい価値は何か?など様々な角度から議論がされていたようですね。

石井さん:はい、各チーム色々な議論がされましたが、各チームから出てきたキーワードを集約すると、意外なことに共通のワードになっていったんです。 違う職種や会社の人たちが集まったプロジェクトでしたが、最後みんな近しい言葉が出てきた時には「みんな同じ想いを持っているんだ!」と驚きましたし、感動しました。そして1つのキーワードで1時間議論するなど、最後の最後までみんなで言葉を磨き上げられたと思います。

――深く議論することで、違う背景を持つ人同士が分かり合える経験をされたのですね。発言することが楽しい、または怖くないという議論の環境を整えることが大切なのでしょうか?

佐々木さん:意見を述べることに関しては、回を重ねるごとに不安が無くなっていきました。それぞれの発言に関して、全員が状況を理解しようとしてくれて、受け止めてくれる雰囲気がありました。発言しやすい関係性が出来ていったことで、より深い議論が出来たのだと思いますし、新会社でもこの状況が浸透していくと良いなと思いました。

――また、プロジェクト期間中はワークショップ以外にも社内チャットを活用して情報交換を行なっていたとのことですが、どんなことをしていたのでしょうか?

佐々木さん:ワークショップ以外の場でも、社内チャットやオンラインミーティングで思ったことを共有したり、常に情報のやり取りはしていましたね。誰かが投稿を促す訳でもないのに、自発的に情報を探して動いているという状態でした。

――ワークショップの場だけでなく、いつでも・どこでも議論が行われるようになったのですね。

石井さん:私は全てのワークショップに参加していた訳ではありませんが、社内チャットなどが使われることによって「常にみんなが動いている」と感じていました。

楽しむ。そして、人が成長する

――プロジェクト全体を通じたみなさんの感想を教えてください。

石井さん:プロジェクト終了後、役員からも「参加者メンバーが成長した」というフィードバックをもらえたことがとても良かったと思っています。メンバーによる経営層への説明会の様子を見ていても、自信がみなぎっていて、それぞれが自分のこだわった言葉で話しているということが伝わってきました。

佐々木さん:私たちも決定した言葉には自信をもって皆さんに説明することが出来ました。今回のプロジェクトメンバー全員が納得できる言葉を出せたということは、メンバー全員が妥協せずに議論を重ねてきたからこその結果だと思っています。これからは、ハウスギャバンで働く方々にも企業理念に共感、また「自分ごと」として体現していけるよう、浸透活動を行っていきたいと考えています。

石井さん:期間内できちんと成果を出すことができましたし、私自身もこんなに楽しいと感じるプロジェクトは初めてでした。

杉岡さん:大きなテーマで長い時間をかける必要があるプロジェクトだからこそ、参加者が「楽しい」と思えるかどうかはとても重要だと思います。

最後まで走り切るためのミテモの並走

――ミテモのメンバーと参加メンバーの関わり方で良かったところはありますか?

杉岡さん:関わり方全部です。ミテモの方が自分の会社のように、ハウスギャバンの未来を真剣に考えてくれていました。参加者の様子や議論の方向性を見ながら内容を変更したり、スケジュール以外のミーティングにも参加していただけたり。
そして、積極的に議論に参加していただきながら、「一般の外の目」としても意見をいただけました。私たち社内の人間からしたら当たり前に感じることも、「一般の人が聞いたらこう感じるのでは?」「同じキーワードでもひらがなと漢字で言葉の印象も変わるよね」などの意見をもらったりしました。そして言葉のプロであるコピーライターの方をミテモさんから紹介していただけたこともとても助かりました。
例えば「感動」というキーワードについて議論していた時、「私たちが思う『感動』とはこういうものだ」という言葉が持つ方向性を、経緯と共に理解していただけました。そのメンバーの想いを汲み取ってコピー化していただけたことで、メンバーにも納得感のある言葉になっていたと思います

石井さん:「この言葉は入れたくない」「こんな想いを込めたい」などメンバーからの想いをコピーライターの方に伝えましたが、そこに至るまでにも、コピーライターの方がワークショップに参加し、メンバーの議論を聞いていてくれていたことは大きな意味があったと思います。

杉岡さん:私の過去の経験上、言葉を決める作業にセンスが必要なことを感じていました。プロジェクトが開始する前から、時間切れによって最後多数決で言葉決めることにならないかと不安に思っていたので、センスが必要な部分にプロの力を最大限借りられることにとても安心感がありました。

石井さん:確かにプロの手を借りると、「その手があったか!」「そんな表現方法があったか!」と発見が出たりしましたね。

――ミテモの支援ではどんなことが特徴的だと感じましたか?

杉岡さん:理念を策定するにあたり「ひたすら議論し続ける!」ということではなく、レゴを使ったワークショップや即興演劇など遊び心もありながら、進行の進み具合でその都度内容を変化していく柔軟性があるところです。そのおかげで、6ヶ月という限られた期間の中でも、きちんとゴールまで辿りつく具体的なイメージを持つことができました。

佐々木さん:私はレゴ®シリアスプレイ®が苦手だったのですが(笑)あのワークショップによって、一人一人が感じている想いや意見を表現できる場が持てましたので、とても必要な時間だったと思っています。

杉岡さん:一見「それ本当に必要なの?」と思える内容にも、初対面で話をしやすくしたり、コミュニケーションが上手くなったり、チームの土台作りのために必要なことだったと今はわかります。ミテモさんは困難なプロジェクトに必要な「楽しさ」を提供してくれるだけでなく、先が見えないプロジェクトで、そもそも何から始めたらいいのかという不安から相談できることが強みなのだと思いました。

6ヶ月間のプロジェクトを経て、プロジェクトメンバーの12名により、ハウスギャバン株式会社は「ともに創る、心に響く食」という企業理念を生み出しました。企業理念策定というゴールの見えづらいプロジェクトであっても、達成できるチーム作り・プロジェクトの設計・並走など必要に応じた形でお手伝い致します。ぜひミテモにご相談ください。

担当者からひとこと

元木 一喜

ファシリテーター

参加された一人ひとりの成長を支える立場として関わり続けることができ、本当に関われて良かったです。とはいえ、僕らがメンバーの皆さんの変化と成長を引っ張ったという感覚ではなく、困難や壁にぶつかるときに寄り添い、その心の変化を支える立場を担えたからこそ、困難や壁を1人1人が乗り越え、結果として個人やチームとして成長するきっかけになったのではとプロセス全体に関わったからこそ、そう感じでいます。

柳瀨 武彦

コピーライター

今回の理念策定プロセスでは最終工程のコピーライティングは私が担いましたが、その前段階での入念な準備があってこそのやりやすさがありました。ミテモの皆さんの技術だけではなく人間力も感じるプロセスでした。ミテモチームとハウスギャバンの皆さんで一緒につくりあげたこの雰囲気と温度感がとにかく素晴らしくて、参加していて心が動きました。

飯田 一弘

ディレクター

出発点に「ちゃんと役に立つ理念をつくりましょう」という思いがあり、それを具現するべくチームを編成して、そのための工程を設計しました。さらにメンバーの皆さんと一緒になって、遊び心をもちつつ、ともに考え抜くプロセスにすることができましたし、単なるクライアントと業者の関係にとどまらない良いチームがつくれて、心の底から楽しいプロジェクトでした。

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