社員が共感・共鳴する効果的なインナーブランディング施策は、どのように立案することができるのか? | ミテモ株式会社
効果的なインナーブランディングのコミュニケーション施策は、どのように立案することができるのか?

社員が共感・共鳴する効果的なインナーブランディング施策は、どのように立案することができるのか?

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社会全体のSDGsへの関心が高まり、主に機関投資家などから企業に対しESG経営への要請が強まる中、これらの環境変化に受け身で対応するのではなく、自社の事業の存在意義や目指す姿・ありたい姿をパーパスやビジョンという形で定義し直す動きが活発化しています。もちろん、パーパスやビジョンを言葉として定義するだけで社会の変化に適応できるわけでも、事業を成長させることができるわけでもありません。パーパスやビジョンを、社員一人一人が自分ごととして捉え、自らが置かれた環境、担うべき役割を踏まえ、弛まずチャレンジができる組織を作ること。そうすることでますます環境変化のスピードが上がり続ける予測不能な環境にも適応し続けることができるしなやかで変化に強い組織を作る。そのような組織を作るために、パーパスやビジョンの浸透が欠かせません。

そんな中で、注目を集めているのが「インナーブランディング」です。広報活動をはじめ、顧客や社外のステークホルダーとの顧客接点(タッチポイント)において、一貫性のあるコミュニケーションを重ねることで、自社のブランドイメージを高める「アウターブランディング」に対し、従業員を対象とするのが「インナーブランディング」です。インナーブランディングでは、主に、従業員一人ひとりが自社のパーパスやビジョンについて理解、納得、共感、共鳴し、日々の意思決定や言動、事業内容そのものをパーパスによって革新していくことを目指します。 本コラムでは、特にパーパスやビジョンなどを策定した組織には、その浸透のためどのようにインナーブランディングを進めていけば良いのか?というテーマを取り上げて解説を進めていきます。

インナーブランディングの成功要因は
トップダウン施策とボトムアップ施策を同時に実施すること

ミテモ株式会社は、人事・組織・事業のプロフェッショナルとしての高い専門性とコミュニケーション・デザインのプロフェッショナルとしての高度なクリエイティビティを有して企業の課題を解決するコラボレーションチームです。特にインナーブランディングの分野では、創業以来、さまざまな業界のお客様のご支援をしてきました。またお客様の組織規模も大小さまざまで、社員数十名規模の中小企業のお客様から、世界中に数万人の従業員を抱えるグローバル企業のお客様まで、幅広い企業のインナーブランディングを成功に導いています。その経験から断言できることの一つは、インナーブランディングはトップダウンの取り組みだけでも成功しない(共感を得て、浸透につなげることはできない)し、ボトムアップの取り組みだけでも成功しない(トップの強い意志と丁寧な説明がなければ正しい理解につながらず、継続しない)ということです。

インナーブランディングはトップダウン施策とボトムアップ施策を同時に実施すること

インナーブランディングのプロジェクトは、多くの場合、従業員にとっては唐突なものとしてスタートします。いきなり聞きなれない言葉が「パーパス」として掲げられ、全社ミーティングなどで経営者から「これが当社において最も重要な価値観だ」と告げられる。たとえ、パーパスとして掲げられている言葉がどれだけ熟慮を重ねて作られた、洗練された言葉であったとしても、その検討のプロセスに参加しているわけではない従業員にとっては異物感が拭えないもの。それがインナーブランディングのスタート地点となります。この状態からスタートすることを受けて、組織文化論の研究者であるエドガー・シャインは、組織文化醸成の第1ステージのことを「人工物」と表現しています。

そして、当然のことながら、パーパスとして掲げられる言葉は(たとえ、パーパス以外に行動指針やコンピテンシーモデルなどの補助的な指針を示す言葉が付帯するものであったとしても)抽象的なものにとどまり、従業員一人ひとりが日々取り組んでいる仕事との直接的なつながりが見出しにくいものとなります。従業員はパーパスを示されると戸惑うもの、ということを大前提にインナーブランディングの施策は考えられる必要があります。

まずはトップがコミットメントを示し、説明責任を果たす

まず、重要なのはトップダウン施策です。トップのコミットメントとリーダーシップを示すことが求められます。経営トップが、パーパスを策定した背景や言葉に込めた想い、従業員に対する期待や課題感などを自らの言葉で従業員にしっかりと説明すること。これに加えて、経営トップに近しい、各事業部門のトップを務める経営陣が、一人一人、パーパスを受けて自身の事業の担うべき役割、今後の方針、具体的にまず取り組むべきことについて言葉を尽くすことで会社としての本気度を示すことも重要です。これらのメッセージを伝えるためには、対面のプレゼンテーションが有効ですが、組織規模が大きく対面のコミュニケーションだけではメッセージが行き渡らない場合は、映像やWEB、冊子などのツールを活用することも有効です。

また組織規模によっては、経営トップや経営陣が各事業部の現地を巡り、赴いた先々で、それぞれの事業部に対する期待値を語りかけ、現場の不安や戸惑いを受け止める直接的なコミュニケーションも求められます。いずれにせよ、経営トップや経営陣が今後進むべき道を示し、自ら率先する姿勢を見せなければパーパスに対する理解度も深まらず、また、会社としてパーパスを重視しているという姿勢も伝わることはありません。

一方で、トップダウンで経営トップや経営陣からのメッセージを投げかけ続けるだけでは、インナーブランディングは進みません。なぜならばトップダウンでのメッセージで、パーパスについて理解し、その意義について納得できたとしてもそれだけで日々の仕事の中での言動を変えられる社員は一握りだからです。そして、パーパスに基づいて日々の仕事の言動を変えるなどの何かしら実践を伴わなければ、心からパーパスで掲げられている価値観の重要性を実感し、共感・共鳴することにはつながりません。つまり、インナーブランディングを進めるためには、トップダウンでの理解・納得感を醸成する取り組みに加えて、社員一人ひとりの行動変容を促進し、パーパスで示される価値観を実感し、共感するボトムアップの取り組みが不可欠です。

ボトムアップの取り組みには4つの要件を満たす場が必要

先述した通り、パーパスで示される言葉は、その性質上、抽象的なものです。つまり、パーパスをもとに従業員一人ひとりが行動を起こしていくためには、一人ひとりが「パーパスで書かれている価値観を自分の仕事に置き換えて考えると、こういう判断・行動・挑戦をすべきだ」と“解釈”できる状態を導く必要があります。また、そうした解釈を通して導き出された「判断・行動・挑戦に取り組みたい」と思える“意志”、「自分は(自分たちは)、その判断・行動・挑戦をできる」と思える“自信”、そして「自分が(自分たちが)、その判断・行動・挑戦をすることを周囲は歓迎してくれ、サポートしてくれる」と思える“安全性”。これら解釈、意志、自信、安全性が担保される“場”を従業員一人ひとりに提供することで、従業員はパーパスに示されている価値観を取り入れ、行動を変容していきます。具体的には全従業員参加型のワークショップを展開することで安心して一人ひとりが(変わっていかなければいけないからこそ感じる)不安を共有しながら、一人ひとりがパーパスを受け入れ、解釈する支援を行う/パーパス実践月間などの全員参加型のプロジェクトを立ち上げ、一人ひとりが参加しやすい環境を構築する などの施策に取り組みます。

インナーブランディングを実現するための4つの場

ボトムアップ施策は、従業員のインサイトを分析しながら設計する

ボトムアップ施策の具体例として、ワークショップやパーパス実践月間をあげましたが、必ずしも「これらの施策を行えば有効である」というわけではありません。また同様の話として、インナーブランディングを推進するにあたって職場や組織を代表し、アンバサダーを選任する企業が多いですが、当然ながらアンバサダーを選任すればボトムアップ施策が進むわけでもないので注意が必要です。 どのような場を設ければ、従業員の解釈が促されるのか、意志を引き出すことができるのか、自信を深めることができるのか、安全だと感じてもらえるのかは、組織ごとによって全く異なります。だからこそ、他社が実施しているインナーブランディング施策を模倣するのではなく、自社の従業員のインサイト(心の動き)を分析し、ボトムアップ施策を導き出していくことが重要です。 従業員のインサイト分析し、適切なボトムアップ施策を考えるためには、本社のインナーブランディングプロジェクトのメンバーだけで会議を重ねていてはいけません。従業員の本音を理解したいのであれば現地・現物・現場を分析する。少なくとも現場のことをよく知る社員、あるいは、現場の当事者を巻き込みながら施策を検討する場を設けることが必要不可欠です。ミテモが支援するインナーブランディングプロジェクトでは、現場や事業部から一人ずつ代表者を選出し、インナーブランディングのコミュニケーション施策を検討するためのUXワークショップを実施します。ワークショップでは現場の意見を吸い上げるとともに、ワークショップ参加者一人ひとりの発言や反応を観察し、従業員の本音について理解を深めます。どのような場を設ければ従業員一人ひとりがどのように感じ、どのような反応をするか、顔が思い浮かぶぐらいに具体的な施策を考えることが重要です。

従業員のインサイトを分析しながら、進めるインナーブランディング推進体制

インナーブランディングはアジャイルに進める

インナーブランディングのプロジェクトに取り組む際に、よくお客様から聞かれるのは、「どれくらいの期間がかかるか?」という質問です。経験的に平均すると3年程度の期間をかけてプロジェクトに取り組むことが多いので、上記の質問には「まず3年間は見据えて取り組んでいきましょう」と答えますが、実際には1年でプロジェクトを発展的に解消することもあります。それほどにインナーブランディングのプロジェクトは現場の反応ありきであり、「このように進めれば良い」という正攻法はありません。 また、プロジェクト開始段階でどれだけ綿密に計画を立てたとしても、インナーブランディングを進めていく中で、当初の計画どおりにやり切るということはあり得ません。メッセージを投げかける、場を設け社員の参加を促す、そこで生まれた変化を取り上げて全組織に共有するなどといった一つ一つの施策に取り組んだ時に、従業員一人ひとりがどのように受け止め、何が変わり、何が変わらなかったか。どの部署、どのエリア・国は変わり、どの部署、エリア・国は変わらなかったか、といったことを常々観察し、分析し、次の施策を展開していくことが求められます。つまり、インナーブランディングのプロジェクトは、綿密な計画のもとに進めることに時間を割く必要はありません。むしろ、上述したようにトップダウンでの説明責任を果たすとともに、従業員のインサイトを分析し、ボトムアップ施策をスピーディに実施・展開する。観察・分析、検討、実施そしてまた観察・分析をスピーディに繰り返すアジャイルに進めることの方がよほど成果を上げることにつながるでしょう。

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