「20年後のいばらきコープの未来像」を考える~PLAYFULな研修で物事の本質に触れ、仲間との絆を紡ぐ~ | ミテモ株式会社

「20年後のいばらきコープの未来像」を考える~PLAYFULな研修で物事の本質に触れ、仲間との絆を紡ぐ~

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ミテモはさまざまな企業への研修の実施や、研修教材の制作などを数多く手掛けている。研修の実施においては、インストラクショナルデザインの代表的なプロセスモデルであるADDIEモデル*1をベースに、研修を企画するための現状分析、それをもとにした設計、開発、実施、その後の評価を行っており、そこで培ってきたノウハウを生かして、企業の研修・ワークショップデザイン・学習支援の支援を手がけている。

今回は、いばらきコープ生活協同組合様(以下、コープ)の、設立50周年記念事業の一環として、プロジェクトメンバーとの協同で、20年後のいばらきコープの未来像をつくるプロジェクトの支援を行なった。

1:ADDIEモデルとは、学習の目標を達成するために必要な学習活動を分析・設計・開発・実施・評価の5つのフェーズとして定義したモデル

ケーススタディ概要

ケース

いばらきコープ生活協同組合 プロジェクトのメンバーのみなさま

目標

・読書会や専門家からのレクチャーと対話を行い、参加自信の学びの質を高める
・組織の志だけでなく、個人の志も加え、参加メンバー自身が今後のいばらきコープを担っていく主役でありたいと思える環境づくり
・演劇やデザイン思考の考えをベースに、自由な発想でいばらきコープの未来像を探究する

提供したサービス

未来をデザインするPLAYFULワークショップ

いばらきコープは「CO・OP ともにはぐくむ くらしと未来」を理念に掲げ、茨城県を拠点に活動する生活協同組合です。店舗事業や宅配事業のほかに、福祉事業として福祉センターなどの運営も行い、組合員の暮らしをサポートしています。

設立から50周年を迎えた2021年、記念事業として「20年後のいばらきコープの未来像」を若手職員に考えてもらう研修を行うことになり、研修の企画・進行を、ミテモに依頼。

今回、ファシリテーターを務めたミテモの元木一喜とともに、いばらきコープ常務理事の宮本さんと管理部の猪狩さんに、研修の感想を伺いました。

若手職員に、未来のコープを創る自覚を促したい

――今回、若手職員に「20年後のいばらきコープの未来像」を考えてもらう研修を行った意図を教えてください。

宮本さん:50周年という節目の年に、「若手職員に、次世代のコープを創っていく自覚を促したい」という想いがありました。「会社の未来を創るのは君たちだよ」というメッセージも込めて、テーマを決めました。

猪狩さん:20年後の未来に設定したのも、研修参加者が経営に携わったり、管理職として活躍する頃を想定しました。「研修で考えた未来像を実現して欲しい」という想いがあったんです。

左:宮本さん 右:猪狩さん

――研修の参加者はどのように決まったのでしょうか?

猪狩さん:公募で参加者を募ったところ、宅配センターから複数名、手を挙げてくれました。いばらきコープの職員は、本部や店舗、宅配センター、福祉といった業態に分かれて所属しています。今回はせっかくの機会なので、各業態の上長からの呼びかけもあり、結果16名で研修を行うことになりました。参加者は2~10年目の若手職員たちで、平均年齢は27歳でしたね。

――普段、研修の機会は多くないのですか?

猪狩さん:関東信越の 6 会員生協で構成される「コープデリ生活協同組合連合会(*)」では、新人研修や、2、3年目のフォロー研修などがあり、弊社の職員も参加します。でも、いばらきコープ独自の研修は多くはありません。
しかも、研修があっても業態ごとに行うので、業態が違う職員とは交流する機会が少ないんです。さらにここ数年はコロナ禍のため、対面研修は行われていませんでした。

宮本さん:同期や仲間と直接顔を合わせる機会がないと、将来のビジョンや仕事への考え方を共有する機会ってなかなかないですよね。その結果、「その日の業務をこなすだけになっている」という若手の声もあったんです。そのような背景もあって、今回の研修は対面で開催しようと考えていました。

*コープデリ生活協同組合連合会(略称:コープデリ連合会)とは
関東信越の生協(コープみらい・いばらきコープ・とちぎコープ・コープぐんま・コープながの・コープデリにいがた)の連合会です。会員生協、コープデリ連合会およびコープデリ連合会の子会社は、コープデリグループとして同じ理念・ビジョンのもと、事業と活動を進めています。

研修で出たアイデアを将来実現するためには、何が必要か

――たくさんの想いが詰まった研修を、ミテモにご依頼頂いた理由を教えて頂けますか?

宮本さん:研修が始まる3ヶ月前までは複数社検討していたんですが、頂いた研修案が座学のものばかりで。最後に御社の提案を拝見したところ、参加者が動きながら考える内容で、「これだ!」と感じました。弊社で行う研修は、座学ばかりだったので。

猪狩さん:今回の研修のゴールは「20年後のいばらきコープの未来像」を考え、50周年式典で「組合員の皆さまのお役に立てる提言」をプレゼンすることでした。ただ、我々としては、「プレゼンして終わり」ではなく、「プレゼン内容を、将来実現して欲しい」という想いがあって。
新たな事業やサービスの実現には、業態を超えて協力し合える体制が必要です。若手職員には、研修を通して、業態を越えた人脈作りをしてもらい、将来会社を発展させるための土台を作って欲しかった。だから、参加者がみんなで動いて考える御社の研修案は、参加者同士が関係を構築するうえでもぴったりだと思いました。

――研修だけで終わらせるのではなく、「研修で描いたビジョンを実現するために、何が必要か」ということまで考えられていたのですね。実際に、今回のミテモの研修案は即興演劇(*)やブリコラージュ(*)など、斬新な内容でした。提案を初めてご覧になったとき、率直にどう感じられましたか?

猪狩さん:正直なところ、今まで見たことのない研修内容に衝撃を受けました。「即興演劇を通じて、何を伝えたいんだろう」と、考えてしまいましたね。でも、謎めいたミッションだからこそ、参加者同士で意味を考えながら取り組めるんじゃないかと思って。実際、研修を終えたあと「今日の研修は、こういう意図だったのかな?」と、参加者が話し合う場が自然と生まれていました。受け身型の研修だと、そんなことなかなか起きないですよね。

元木さん:今回の研修は「PLAYFUL」を掲げて、真面目に、でも楽しみながら、参加者だけでなく、事務局の皆さんも一緒に研修の場を作りたいと考えて設計しました。即興演劇など、普段馴染みのない取り組みもありましたが、皆さん持ち前の前向きさで、しっかりと意図を汲み取りながら参加頂けたのかなと感じています。

ワークショップ中の様子

*即興演劇とは
台本を用意せずに、即興的な演技手法を用いて自発的に演じる形式の演劇のこと。今回の事例では、お題に沿ってその場で演じてもらうワークを取り入れました。

*ブリコラージュ
その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ること。今回の事例では、雑誌のグラフィカルな見出し・キーワード・写真を切り貼りし、用紙にコラージュしていくワークを行いました。

参加者のモチベーションを上げる雰囲気作りとは

――全5回の研修は、どのような雰囲気で進んだのでしょうか?

猪狩さん:第1回と第2回は初対面に近い職員も多く、緊張した様子でした。でも、第3回で3グループに分かれ、プレゼンに向けた活動が始まってからは、全員が積極的に発言する様子が見られました。

――第3回の開催は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、前回の開催から5ヶ月も期間が空いたと伺いました。

猪狩さん:本当は第2回の翌月に開催する予定だったのですが、5ヶ月も空いてしまって。なかには「もうこのまま研修は終わっちゃうんでしょ」と、モチベーションが下がっていた参加者もいました。

宮本さん:「みんなで研修の場を作るんだ」と参加者に思い出して欲しくて、第3回開催の前日、研修で使う会議室に第2回までの研修中の写真やスライドをA4サイズに全て印刷して、壁一面に貼り付けてみたんです。当日、会場に入ってきた参加者が壁を見て驚きながらも、今までの研修を思い出している様子を見て、やってよかったなと感じました。

壁面に張り付けた資料とブリコラージュ

ブリコラージュに使用する素材選びの様子

元木さん:会場は、3つの会議室のパーテーションを取り除いた部屋で、すごく広かったんです。そんな会場の壁一面に、写真やスライドを貼って頂き本当に感動しました。印刷から貼り付けまで、すべて宮本さんと猪狩さんで作業していただいたと伺って、お二人の熱意を感じましたね。

――お二人の熱意は、参加者のモチベーションに好影響を与えたのではないでしょうか。

元木さん:かなり大きく影響したと思います。あと、ファシリテーターの私自身、コロナ禍の影響で全5回の研修のうち2回しか現地参加できなかったんです。
私も現地の皆さんも互いに不安だったのですが、オンライン参加の私に「少しでも現地の雰囲気が伝わるように」と、複数のカメラで、参加者がどのような話をしてくださっているのか臨場感が伝わる形で、リアルタイムで送ってくださって。研修の場作りにおいて、事務局のお二人には率先して多くの工夫をしていただきました。

猪狩さん:元木さんの現地参加は2回でしたが、参加者のほとんどが「いつもそばにいてくれていた」と感じていたようです。振り返ると、参加者のためにいろいろな工夫をしましたが、気付けば我々も楽しく参加していました。元木さんの「全員が笑顔で参加できる雰囲気作り」は、すごい技術だなと思います。

元木さん:「参加者への声かけはもちろん、会場の音楽なども工夫して、スピード感を持ちながら楽しく作業してもらえるよう心がけていました。あとは、いかに参加者本人に「やってみたい」「やれるかも」と思ってもらえるかを考えながら進行しましたね。何よりも、事務局のお二人の創意工夫もあって、前向きな研修の場が作れたと思っています。

参加者が動きながら考え抜いて、本質に気付けた研修だった

――研修で作成した「組合員の皆さまのお役に立てる提言」は、2022年3月のいばらきコープ経営会(*)で、参加者がプレゼンされたと伺いました。

宮本さん:元々、50周年式典で行う予定だったのですが、こちらもコロナ禍で中止になってしまって。最終的に、経営会で全3グループのプレゼンを行うことになりました。

――研修の集大成のプレゼンを聞いて、いかがでしたか?

宮本さん:「20年後」と聞くと、AIやコンピューター技術の発達を思い浮かべる人が多いと思いますが、3グループとも「人と人との繋がりを大切にすることが、コープの役割だ」という提言だったんです。

猪狩さん:コープとして大切にしなければいけないのは、地域や生産者の方々との繋がりです。技術の発達ももちろん大事ですが、「基盤となる繋がりを大切にしなければ、事業は発展しない」ということが、若手職員に伝わっていて嬉しく思いました。

宮本さん:今回の研修を通して、「いばらきコープの存在価値について考え、自ら気付いて欲しい」と思っていたので、「本質に気付いてくれたんだ」と感動しましたね。

――参加者の若手職員の皆さんは、研修を通じて成長されたということですね。

猪狩さん::そうですね。研修前は、それぞれ所属する業態の目線で物事を考えていたけれど、研修でさまざまな業態の仲間と関わることで、多角的な思考ができるようになったと感じます。
参加者からは、「自分と社会の未来や、課題を考えながら仕事に取り組みたい」とか、「いばらきコープが今まで培ってきた、地域での信頼を大切にしたい」という感想がありました。

宮本さん:実際に、今回のプレゼンのアイデアの中には、既に実現のために動き出しているものもあるんです。20年後と設定しましたが、20年を待たずに実現するかもしれませんね。今回の研修を通じて、若手の発想は面白くて素晴らしいなと改めて思いましたし、今回出たアイデアを仕事のヒントにしようと考えている職員も多いんですよ。

――今回のような、従来型ではない「動いて考える、クリエイティブな研修」を、今後も導入したいと考えますか?

猪狩さん:職員に「いばらきコープで働いていて良かった」と思ってもらうためにも、こういったクリエイティブな研修は大切だと感じています。それが、ひいては職員の定着にも繋がると考えています。
また、受け身になりがちな座学の研修よりも、今回のような動きのある研修のほうが、参加者も主体的に参加してくれると実感しました。機会があれば、またぜひ今回のようなクリエイティブな研修をしたいですね。

*いばらきコープ経営会とは
代表理事、常務理事、執行役員、部長、次長、課長、事業所長で構成される月例の幹部会議で、いばらきコープの方針についての共有化や学習を行う会議のこと。

受講者の声


仕事への想いが変わった。これまでは自分の目の前の組合員さん(お客様)しか見えていなかったが、いばらきコープ全体、そして未来へと視野が広がった。


普段なかなか関わることができない方々と、様々な意見を交わす機会を持てたのがとても貴重な時間だった。


参加して講義を重ねていくうちに、「人と人の繋がり」「コミュニケーション」といったコープの良さを改めて認識できた。


自分自身の成長につながっただけでなく、仲間と共に悩み、考えながら自分たちの答えを見つけるのはとてもわくわくした。終わってしまうのが寂しいと思えるほど楽しく、本当に参加してよかった。

元木講師からひとこと

参加者だけでなく、事務局の皆さんが”PLAYFUL”に振る舞っている姿がとても印象的でした。新型コロナウイルスが猛威を振るう不確実性の高い状況でも、”参加者が安全に、でも熱中できるリアルの場をどうつくるのか”を、共に考える時間がとても多かったです。具体的な進め方も提案いただいたり、会場設営も大いにサポートいただき、心から感謝しています。 今回の設計では、未来を考える上で、プロジェクトメンバーには、認識・知識は与えられるものと捉えるのではなく、自ら主体的に活動する中で、発見・構成していく体験のデザインがより重要になると考え。クリエイティブラーニングスパイラルの考え方をベースに、イメージし、手を動かし、実験し、対話をし、ふりかえる時間を何度も何度も繰り返していく時間となりました。 今回のプロジェクトが、参加者1人ひとりの創造力に火が灯り続け、未来のいばらきを創造し続けるきっかけになって欲しいと心から応援しています。

インソース営業担当 村田からひとこと

受講者様、宮本様、猪狩様、元木講師が毎回イキイキと参加している姿が非常に印象的でした。
事業企画の研修はどうしても終盤になればなるほど、焦りからやらされ感を感じる場面も見受けられますが、全員が最初から最後まで意欲的で、「楽しく学ぶこと」、「自分自身が楽しんで取り組むこと」の重要性を改めて痛感しました。
いばらきコープ生活協同組合様のヘビーユーザーの一人として、今回のワークショップに携われたことをとても嬉しく思っております。

【企業紹介】