研修の成果は受講者の「満足度」ではなく「行動変容」~営業教育チーム元年は、自らが行動変容すること~ | ミテモ株式会社

研修の成果は受講者の「満足度」ではなく「行動変容」
~営業教育チーム元年は、自らが行動変容すること~

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ミテモはさまざまな企業への研修の実施や、研修教材の制作などを数多く手掛けている。研修の実施においては、研修開発の代表的なプロセスモデルであるADDIEモデル*1をベースに、研修を企画するための現状分析、それをもとにした設計、開発、実施、その後の評価を行っており、そこで培ってきたノウハウと、インストラクショナルデザインの各種理論を合わせて、企業の研修内製化の支援も手掛けている。

今回は「シンプルでわかりやすい」をコンセプトに、30年以上に渡ってお客様のニーズに合わせた保険商品を提供しているオリックス生命保険株式会社様(以下、オリックス生命)の研修内製化を支援した。

1:ADDIEモデルとは、分析(Analyze)・設計(Design)・開発(Develop)・実施(Implement)・評価(Evaluate)の5つのプロセスを循環させて研修開発を行うモデル

ケーススタディ概要

ケース

オリックス生命保険株式会社 代理店営業企画推進部営業教育チーム 8名のみなさま

目的

研修開発に関連する理論をメンバー全員が学ぶことによりチーム内に共通認識を醸成し、メンバーひとりひとりが理論を踏まえた質の高い研修を企画開発・実施評価できるようになる

提供したサービス

4つの研修・ワークショップをベースに組み立てた4か月間の研修内製化支援プログラム
・研修設計入門①~効果測定につなげる研修企画の基礎理論・手法を学ぶ
・研修設計入門②~目標達成に向けた学習活動の作り方を学ぶ
・講師養成講座~理論と実践的な技術を学ぶ
・講師スキル評価ワークショップ

「想いを、心に響くカタチに。」

オリックス生命はお客さまのライフスタイルやニーズに合わせた保険商品を30年間提供し続けている企業です。

2020年3月、厳しい業界で勝ち抜く営業人材を育てるため「代理店営業企画推進部営業教育チーム」が発足されました。今回は営業教育チームの立ち上げとして取り組んだ4か月間の育成プログラムと、その後の変化について、山田チーム長とチームメンバー・堀さん、角倉さんにお話を伺いました。

※飛沫感染防止策として、アクリルパーテーションを置き十分な間隔を保ったうえで、インタビューを実施いたしました。

優秀な営業社員が集結したけれど
各自のやり方はバラバラで認識にズレがあった

――今回、ミテモの「研修内製化支援」を受けることになった営業教育チームのみなさんは、普段どんなお仕事をされていますか?

山田チーム長:弊社は主に代理店さんを通じてお客さまへ保険商品を提供させていただいており、その代理店さんを支援する社員のスキルアップ、いわば教育を行うことが当チームの役割です。特に商品を販売するための施策を考え、展開する方法を代理店営業担当者に浸透させることが主な仕事になります。

――チーム発足の背景を教えてください。

山田チーム長:保険業界は商品競争が激しくなり、商品力に強みのある当社においても以前と比べて厳しい環境にあります。これから先、お客さまお一人おひとりに合った保障を提供し続けるためには、社員のコンサルティング能力の向上が欠かせず、そのためには教育そのものに注力する必要がある。そうして生まれたのが、営業教育チームでした。

――ミテモの研修を受講する前は、どんなことが課題でしたか?

山田チーム長:メンバーは営業現場から優秀な社員が集まりましたが、教育に携わった経験のある者は8名中2名のみ。それぞれ独自の考えがあり、研修の進め方もバラバラでした。このままでは仕事の効率が下がったり、不要な衝突が起きたりする可能性があったため、メンバー内で研修開発に対する共通認識を持つ必要があると感じていました。

「理論を踏まえ、実践で使える技術を」
という提案が魅力的だった

――研修を提供する企業は数多くありますが、なぜミテモだったのでしょう?

山田チーム長:私たちが求めていたのは、自分たち(研修担当)を育てる学びの場です。ただそのような研修は少なく、あってもパッケージ化されているものばかりで……。そんな中、ミテモさんは弊社の状況に合わせてカスタマイズをしてくれました。

――どんなカスタマイズでしょう?

山田チーム長:まずは現状把握のため、ヒアリングの時間をとっていただきました。チームには研修理論を学んでいるメンバーがいないので、理論を体系的に学んで共通言語化していきたいという狙いがありました。ミテモさんは今まで私たちが現場で培ってきたノウハウと上手く掛け合わせて成果に繋がるよう「理論を踏まえ、実践で使える技術を身につけられるプログラムにしていきましょう」と提案してくれたのです。

――理論と実践の掛け合わせを体感することで、研修担当としてのスキルが高められそうだと感じたのですね。

山田チーム長:特に良かったのはインプットではなく、アウトプットに比重を置いてくれたことです。耳で聞くだけでは吸収しにくいので、聞いたことをすぐに実行できる構成を提案してくれました。学びが実務で役立つイメージが明確に湧いたことも、ミテモさんを選んだ大きな理由のひとつです。

研修と実践を繰り返す形式で4か月間実施したプログラム。
チーム内でもフィードバックしあえる関係になれるように、講師からだけでなく、チームメンバー同士がフィードバックしあうプロセスを組み込んだ。

受講者の反応ではなく「行動変容」に目を向ける

――ここからは研修受講者の堀さんと角倉(すみくら)さんにもお話を伺いたいです。おふたりは今回受けたような研修を過去に受けられた経験はありますか?

堀さん:研修理論そのものを学んだことはありません。ただ研修担当を育てる研修は珍しいので「どんな内容だろう?」と開催前から期待していました。

角倉さん:私もありませんでしたが、以前より研修のスキルを高めたいと思っており楽しみにしていました。

――今回の研修は、理論と実践を繰り返すインターバル形式でトータル4か月ほど行われました。実施から半年ほど経過していますが、研修の内容は実務でどんなふうに役立っていますか?

角倉さん:研修を企画する際は「受講者に研修後の実務でどんな行動をしてほしいのか?」という行動目標を考えます。そのシンプルな教えが、実務で役立っています。メンバーやチーム長に、私が考えた企画を見てもらう時も「受講者にこうした行動をして欲しいなら、別の要素も必要だね」というフィードバックをもらえるようになり、企画を考えやすくなりました。

堀さん:これまで実施してきた研修では、内容の良し悪しや受講後の感想など、受講者の反応にフォーカスすることが多かったです。しかしミテモさんの研修を受けて、本質から外れていることを痛感しました。大事なことは研修を実施した後に受講者の行動が変わったかどうか。受講者の反応そのものよりも行動変容という本質的なところにフォーカスするようになりました。

角倉さん:以前、新入社員研修を担当していたのですが、新入社員が配属先で業務についてから、どういう行動が取れるようになることを目標とした研修なのかを定義できていませんでした。ここを定めて共有することで、受講者にとっても配属先の上司の皆さんにとっても、研修では何を対象としてどこまでの行動を取れるようになることを目標とするのか、認識統一できるようになると感じています。

――ミテモの支援によって「研修の持つ意味」が大きく変化したんですね。

堀さん:言葉の定義が変わりましたね。これまでの研修は「知っていることを伝えること」でした。でもそれは研修を実施することに目線が向いていますよね。「受講者の行動が変わること」が研修の持つ本来の意味なのだと気付いた後は、受講者に目線が向いています。

山田チーム長:これまでは研修後にアンケートを取って終わりでした。受講者が実践で行動を起こすためには、学習転移が起きるようにすることが大事だと学び、営業教育チームにできることとして、研修後にチャットを使って受講者とやりとりする環境を整えました。常に研修のことが思い出せるリマインド機能を持たせることで、学習したことを忘れないように、行動に結びつけられるように、環境整備しています。

研修効果を4段階で測定することを提唱しているカークパトリックモデルを活用して、目的・行動目標・学習目標を設定することを研修設計入門①の講座内容として紹介。
レベル3以降の実践に至るためには、研修後に転移を起こせるかどうかがポイントになる。

メンバー同士によるブラッシュアップと
成長への意欲

――研修は効果の見える化がなかなか難しいと思いますが、効果測定に関して何か取り組みに変化はありますか?

堀さん:行動変容したかどうかを研修ごとに数値化して測定するようにしています。今後は経営に資する数値を測定できるように模索しています。どのような品質の研修が、どのような階層の社員に響くのか、それはそれは網の目のように複雑に絡み合っていると思うので、単発の研修だけ効果測定するのではなく、年間を通じた社員育成としての効果もこれから探っていきたいですね。

――皆さんは研修講師として登壇もされるそうですが、研修後に講師として変わったことはありますか?

堀さん:これまでは「どう見えるか?」「どう上手く伝えるか?」を気にしていましたが、その意識は大きく変わりました。例えば「この投げかけは受講者にとってどんな意味があるのか?」と考えながら行うようになりました。それは受講者中心の考え方と研修転移に目線を置けるようになったからだと思っています。

角倉さん:以前の研修は一方的に話すインプット中心の研修でした。今は研修を見直して、インプットは研修開催の前に済ませてもらい、研修会当日はアウトプット中心に切り替えているので、ワークなどでアウトプットしてもらった後のフィードバックが受講者の行動変容に繋がるようにと思って工夫しています。説明や講義の場面では、どうすれば受講者に聞きたいと思ってもらえるかを考え、本題に入る前に受講者の注意をひきつけられるように相手にとってのメリットを伝えるようになりました。これは代理店営業担当として相手に商材を説明するときにも必要なことだなと感じています。

堀さん:研修の受講者へのフィードバックは、我々自身がミテモさんから研修中にいただいたフィードバックをお手本に、自分たちも質の高いフィードバックができるようになろうと考え、チーム内で研究しています。また実践の中で興味を持ったことについて関連書籍を持ち寄って深掘りをしていく、チーム内での学び合いの機会が生まれるようになりました。

オンライン研修の様子

――研修は「行動変容」が大事ということですが、営業教育チームのみなさん自身の行動が変わってきていらっしゃいますね。

堀さん:目的・目標の策定を突き詰めるメンバーが増えましたね。「こうしたほうがいいのでは?」「もっとレベルを上げよう(下げよう)」といった会話が飛び交うようになり、研修の目的・目標の文章ひとつ書くにも時間をかけ、こだわるようになりました。理論と実践を通して、共通認識が生まれたことが大きいと思います。研修設計や講師スキルが身についてきたことで、他のメンバーが研修している様子を見て、今までであれば漠然と感じていた強みや弱みを、言語化できるようになってきました。言語化して表現することで、チームメンバーの互いの成長速度が増しています。

角倉さん:自分自身のことになってしまいますが、研修で習ったことを実践している中でチームの皆さんと比べて、自分はロジカルシンキングなど思考力が弱いなと感じました。今は思考力系の本を毎週1冊読むようにして、行動目標から学習目標を網羅的に洗い出せるように練習しています。

山田チーム長:まだまだ研修を中身から考えてしまうことがあります。そんな時、チームのみんなで議論すると「目的は?」「行動目標は?」「学習目標は?」という話になり「それなら、こうしたほうがいいね」と意見を出し合えます。メンバー全員で研修を受けたことで「Aの部分、抜けているよ」といえば、一緒に学んだADDIEモデルのことだと全員が理解できる。共通言語ができたことで理解が早くなり、軌道修正が容易になりました。結果的に仕事も効率的・効果的になっています。

――成長への意欲をみなさんの行動から感じます…!最近、新しいメンバーも入られたそうで。

山田チーム長:今年新たに2名のメンバーが入ってきました。その2名にもミテモさんから教えていただいた学びを何回かに分けて伝えています。教えが途切れないようにメンバーからメンバーへとつなげていきたいですね。

――みなさんのご活躍、今後も楽しみですね。

講師からひとこと

小田川 仁

ミテモ株式会社

研修デザイン(企画設計)は奥が深く、幅も広いです。デリバリ(実施)も多様な受講者への対応に正解はありません。研修デザイン・デリバリを全て網羅することは困難です。軸となる受講者中心主義の考え方と、基本的なインストラクションの理論を学んだら、あとはひたすら実践と学びを繰り返します。今回のプログラムでは、必要なことを学ぶだけでなく、実践と学びの繰り返しが楽しい・自分に役立つと思ってもらえるように取り組んでいました。インタビューからその成果を感じ取ることができ、嬉しく思います。

堀 光希

ミテモ株式会社

ミテモでは、お客様の組織において多くの方々が自律的に学びを続けていけるように、理論的かつ実践的な研修コンテンツをご提供しています。今回の事例のような「学びについて学ぶ研修」においては「正確な理論をお伝えすること」と「学び続けるチームを作ること」が重要だと思っています。今回のようにミテモの研修を受けられた皆様がご自分で学びを続けていることを知れることが何よりも喜ばしいことです。

営業担当からひとこと

研修の様子を拝見させていただきましたが、学ばれた理論を積極的に使って、皆さんがお互いにフィードバックし合う様子が印象に残っています。今回のように、「メンバー全員が共通認識をもって、お互いに学んだ内容をブラッシュアップし続けられる状態」はとても理想的だと感じました。本プログラムは、教育を内製化する時だけでなく、外部に依頼する際にも活かせる本質的な内容となっておりますので、教育を担当されるすべての方にお勧めしたいです。

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