名古屋市伝統産業経営課題解決支援事業 事業者インタビュー 有限会社ノヨリ - ミテモ株式会社

名古屋市伝統産業経営課題解決支援事業 事業者インタビュー 有限会社ノヨリ

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名古屋市 伝統産業経営課題解決支援事業 伴走支援プログラムに参加いただいた事業者の皆さまにインタビューをしました。

事業者紹介

有限会社ノヨリ

1970年創業。伝統的工芸品「尾張仏具」の錺金具(かざりかなぐ)を手掛けている、ノヨリ。目的別に各種大小さまざまな鏨を使いわけ、立体的で美しい姿を生み出す。

伝統技術の継承が危ぶまれ、”このままでは技術が途絶えてしまう。伝統技術を守りたい”という思いから、身近に感じていただけるように、2020年より伝統技法を用いてジュエリーやアクセサリー、インテリア小物を1点1点手作業で制作する、販売事業【Wayuan和悠庵】を始動。

――今回、事業に応募しようと思った理由を教えてください。

野依祐月さん(以下、祐月さん):7つのブランドを作り、仏具以外の商品が整ってきた中で、展示会やポップアップでの見せ方について、専門家の意見を聞きたいという思いで応募しました。

――仏具だけでなく、アクセサリーなど7つのブランドを展開されている背景を教えていただけますか。

祐月さん:もともとは仏具職人の父が作品展や美術展に花器や香炉を出していましたが、尾張仏具の紹介はできるものの、収益にはなっていない状態でした。展示会でも収益を得たいと思い、父がアクセサリー作りを始めました。当時私はアパレルの企画の仕事をしていて、はじめは父の作るアクセサリーにアドバイスをしていましたが、この仕事に可能性を感じて継ぐ決心をしました。
アクセサリー作りを手伝っていたら、仏具作りもできるようになっていました。これは後継者の育成にも使えるぞ!と思いましたね。

――今回の事業で取り組んだ内容について教えてください。

祐月さん:購入前体験​の改善としては、新規販路開拓、商品ラインナップの増加​、営業資料の整備(オーダーシート)​などを行ってきました。特にオーダーシート(商品の写真と大きさなどが掲載された資料)はずっと作りたいと思っていながら、100~200点と商品数が多いこともあり、手が付けられていませんでした。
これまでは展示会などで商品の詳細をお伝えする際はECサイトのご案内だったものが、オーダーシートをお渡しして、その場で商品詳細をご覧いただけるようになりました。

購入体験(サービス体験)としては、展示会やポップアップの出店の際の服装を場所によって変えるなど、商品の並べ方だけでなく全体的な見せ方という視点で展示の仕方のアドバイスをもらいました。価値を感じてもらえるように、アクセサリーと一緒に、実際に販売すれば100万円以上する仏具を展示しました。説明をせずとも、この人たちすごいものを作っているんだというのが伝わっていたのかなと思っています。お客様が足を止めてくださり、そこから回遊や商品の購入につながっていったと考えています。実際の成果として、12月に出店したイベントでは、ブースの位置が奥の方で人通りが少なかったのですが、仏壇仏具のチームとしては売上が過去最高でした。

――これからどんなことに取り組んでいきたいですか。

祐月さん:展示会やポップアップには、父か私のどちらかが立つことがほとんどで、その間は作品作りが中断されていたため、卸先を増やしていきたいです。セレクトショップのバイヤーに向けての営業も強化していきたいと考えています。

――今回の事業に参加してよかったことはどんなことでしょうか。

祐月さん:今までは父と食事や作業をしながらミーティングをしていたため、この前話したよねということを何度も話していることがありました。この事業でアドバイザーの方に入っていただき、ミーティングの時間を確保できたことで、取り組みのスピードが格段に上がったと感じています。今後もミーティングの時間を確保しながら、事業を進めていきたいです。

――有限会社ノヨリの今後について教えてください。

祐月さん:これからは持続的に後継者を育成していきたいです。今は父と私がメインで、祖父母も制作を担っていますが、10年後を考えると祖父母は引退していると思います。そのため、今年の4月から新入社員が入るのを皮切りに、常に2~3人は仕事ができて、1人を育成しているという状態を目指していきたいです。

――仏具業界全体の今後はどうお考えですか。

祐月さん:やはり業界全体としては、後継者不足が問題になっています。よく話題になるのは、伊勢神宮の次の次のご遷宮のときには、全ての工程の職人がそろわないのではということ。それを避けるためにも後継者を育てていくことが大事だと思っています。
私がよい事例となって、仏具以外の商品が作れるということや、後継者育成ができるということを示していけたらよいなと考えています。

――インタビューへのご協力ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。