“あの日に想いを共有したんだ”~チームの「最高の未来」をレゴ®で創造した1日~ - ミテモ株式会社

“あの日に想いを共有したんだ”
~チームの「最高の未来」をレゴ®で創造した1日~

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ミテモではさまざまな企業や団体の組織づくりやチームビルディングの取り組みをサポートしている。今回は、認定NPO法人フローレンス様(以下フローレンス)に提供した、組織の未来をレゴ®シリアスプレイ®のメソッドを用いて参加者同士で作りあげるワークショップの模様を、インタビューを通じて紹介する。

フローレンスは、親子の笑顔を妨げる社会問題を解決する集団として、2004年の設立から15年間に渡って、病児保育問題、待機児童問題、障害児保育問題など、様々な問題に対して事業を通じて取り組んでいる。今回は、半年に1度開催しているディレクター、マネージャーたちの集まるミーティング(1日合宿として東京都内で開催)において、過去の歩みを振り返り、5年後の未来をテーマに対話した。

企画担当者兼参加者の宇野澤ちはるさんと宮崎真理子さん、純粋な参加者の中村慎一さんと小川千尋さんに、ファシリテーターを務めた飯田一弘とライターの高橋昌紀(いずれもミテモ)がお話を伺った。

ケーススタディ概要

ケース

フローレンス 組織の未来を形にするワークショップ

目標

5年後のフローレンスの「最高の未来像」を、ディレクター、マネージャー全員でつくりあげる

ワークの流れ

パートA:フローレンスの「現在の姿」を、各人がレゴの作品として造形し、語り合う

パートB:フローレンスの5年後の「最高の未来像」を、各人がレゴの作品として造形し、語り合う

パートC:個人作品「最高の未来像」から全員がひとつずつコアとなる要素を取り出し、それらを合体し発展させて、全員の共有作品「最高の未来像」をつくりあげる

ワークショップ参加者

フローレンスのディレクター、マネージャー 計17名

所要時間

4時間

フローレンスの最高の未来」を個人の作品として作り、語る(パートB)

全員の「最高の未来」を持ち寄ってひとつの作品を形作っていく(パートC)

みんなで作った「最高の未来」のストーリーを考える(パートC)

完成した作品を囲んで、集合写真

期待と不安が交錯していた実施前

右からインタビュアーの高橋、ファシリテーターの飯田

――最初に、今回の企画に至った経緯をおきかせください。

宮崎さん:数年前から、「マネージャー・ディレクター陣をひとつのチームにしよう」という狙いで、半年に1回の合宿にて、ワークショップを行っていました。ただし、これまでの1年間は、敢えてアウトプットをしないようにしました。仕事のモードだとついアクションプランに落とし込もうとしがちだけど、アウトプットにとらわれずに、ただひたすら話してみようと。 そういう活動を踏まえて、今回は1年ぶりに、何かアウトプットのある場にしようということで、色々と検討した結果、レゴ®シリアスプレイ®にしました。

宮崎さん(左)と宇野澤さん(右)

――レゴのワークショップには、どんな期待をしていましたか?

宮崎さん:合宿は、とにかく「Fun」な楽しい場にしたかったんです。というのも、私達が日々業務に追われていることもあり、こういった非日常の場では、数年先を見たり、視野を広げたり、お互いを知りあえたりする、そんな楽しめる仕掛けを入れることを大切にしています。

――逆に、不安なことはありましたか?

宇野澤さん:私自身が参加者として、ちょっと不安に思っていた部分があったんです。レゴ®ブロックでなにか作るということが得意だとは思えなくて。

宮崎さん:実は、私も(笑)。そして10人以上が参加するワークショップということで、果たして全員がちゃんと参加できるのか、という心配もありました。

宇野澤さん:あと、思ったことを口に出せない人はいないだろうか、というのも少し不安ではありました。

――企画者としては、期待の反面、不安が色々とあったわけですね。

――では、純粋な参加者である中村さんと小川さんへの質問です。参加前に企画について知らされて、どう思いましたか?

中村さん:楽しみでした。レゴ®シリアスプレイ®をやったことはなく、チームビルディングにどう生きるのかイメージできなくて。でもだからこそ、楽しみに感じていました。

小川さん:同じく、どんなものかはあまり把握していなかったんですけど、いつもと違うワークショップができるのは楽しみだなと。ただ、チームビルディングのワークショップって、どういう心持ちで参加すべきか悩むんです(笑)。不安な気持ちと面白そうな気持ちが両方ありました。

参加者の小川さん(中央)と中村さん(右)

自分に気づける、他者に気づける

――実際にワークショップが始まってみるとどう感じましたか?

中村さん:ウォーミングアップから、楽しくなってしまいました。事前の期待通りというか、それを超えて全力で楽しませてもらったと思います。個人ワークでは、自分がつくれたことも楽しかったし、それに合わせてストーリーを考えるのも楽しみました。

小川さん:手を動かすと頭が働くということを実感しました。言葉にするのとも違うし、絵を描くこととも違いました。実は、私は絵を描くことは苦手すぎて、絵だと手が止まってしまいます。でも、レゴだととりあえず積んでみよう、手を動かそうという気持ちになれるのが良かった。形になっていくと、わかりやすいですしね。

宇野澤さん:さっき言ったとおり私も不安はあったけど、実際に手を動かしてみると、やりやすかったです。自分のつくった作品も楽しめるし、仲間のつくった作品も楽しめる。

宮崎さん:私たちも、チームビルディングはよくやるのですが、参加意識にはばらつきがあって難しいことがあります。でも、レゴ®シリアスプレイ®だと、みんなが参加しやすく、参加意識のばらつきが少なかったのが良かったです。

――他者に対する新しい発見は、ありましたか?

中村さん:いろんな人の着眼点を知ることができますね。「ここに着目しますか!」という発見を直に感じられたのが特に面白かったです。

小川さん:言語化がうまい人は、つくる作品が具体的だと気づいたんです。具体的な形で、ストーリーがあって、こういう機能を持っている、と。人によっての違いが大きく出るんだなというのが特に面白かった気づきです。

中村さん:その人の作品が精緻だったり強そうだったり、性格や個性が出るなあとも思います。いままで見えてなかった部分が見えた感じです。

――自分に対する発見は、ありましたか?

小川さん:自分はこういうものが好きだなということも気づけましたね。私は、カラフルとか凸凹とかばっかりを作っていました(笑)。たぶん、仕事や職場にそれを期待しているんだなと。カラフルや凹凸というのは、言うなれば“多様性”に近いかもしれません。自分はそれを求めているし、好きなんだ、ということを改めて感じました。

中村さん:実は今回のワークショップのときに、ワーク毎に切り口を変えるという課題を自分に課していました(笑)。これは主観的に、今度は客観的に、みたいに。そして、それを仲間に「面白いね」と言ってもらって、なんというか承認欲求が充足されたような気持ちです。(フローレンスに転職してきてまだ3か月というタイミングだったので)この組織、このチームに自分は入れるのかな?という不安が少しあったのですけれど、今回ワークショップを通して「ここでやっていけそう」という気持ちが醸成できたことは大きな収穫でした。

宮崎さん:私はイメージを形にするのではなく、できたものに後から意味づけしていました。それによって、「自分が知らない自分」を知った感じがしたのです。それって普段だったら気づかない。「どうしてそう表現したのですか?」と聞かれて、それをきっかけに自分を知ることができたのが良かったです。

宇野澤さん:私は宮崎さんと逆で、自分でイメージしているものを作ろうとしていました。だから、みんなの作品を見て、その自由さにびっくりしました(笑)。自分の作品が、「他者からはそう見えるんだ!」という驚きもありました。「強そう」と言われたりもして(笑)

――言われて、どんな気持ちになりましたか?

宇野澤さん:自分の作品へのコメントは、他者視点からの自分へのフィードバックですよね。しかし作品は、確かに自分が投影されてはいるけど、自分そのものではありません。なので「あ、そういうふうに見えるんだな」と客観的に受け止めて、驚き、そして面白がることができました。

「あの日に想いを共有したんだ」に立ち返れる

――終盤では、個人作品を統合・発展させて、全員の共有作品「最高の未来像」をつくるチャレンジをしました(パートC)。これは、いかがでしたか。

中村さん:エキサイティングでした。個人のパーツが繋がりあって、形がどんどん変わっていく、それとともにチームビルディングが進んでいくというのは驚きました。

小川さん:成果が見えていく、大きくなっていくことは、すごくわかりやすいし興奮する過程でした。

――ファシリテーターとして観察していて、このあたりから、自律的に場が動き出した感じがしましたね。作品がどんどんバージョンアップされていくのも驚きでした。安定が生まれ、そこにカオスが生まれて、また安定が生まれ、というように、層ができていく。そして作品が豊かになるのとシンクロして、みなさんの言葉や動きがどんどん活発になっていくのが非常に面白かったです。

宮崎さん:グランドルール(*1)があることが、非常に良かったです。また、「自分の作品は自分しか動かしちゃいけない」という約束(*2)が共有されていたことは、安全に感じました。私のように、レゴに苦手意識がある人にとっては特に。

宇野澤さん:「自分の作品を動かしていいのは本人だけ」という約束は、動かすときに本人の意見に耳を傾けることを促してくれて、全員の参加を保証してくれていたように思います。「フローレンスの5年後の未来像」にみんなが思い入れを持っていたからこそ、「違う」考えを言える場になったのが良かったです。

*1:“グランドルール”は、ブロックを扱うワークの前に、ファシリテーターで参加者に共有する考え方のこと。たとえば今回だと「手を信じる」「その場で言葉をつむぐ」「相手の目を見ずに作品を通して語る」といったもの。

*2.“約束”は、全体ワークの前にファシリテーターが伝えた心得のこと。今回は「自分の作品は自分で動かす」「全員が納得するまで、しっくりきませんと言ってよい」「すべての作品を漏れなく話題にする」「作品の意味を変えない」といったもの。

――ワーク中にスマホで撮っていた写真は、ワークショップの終了後に見返すことってありますか?

中村さん:はい。みんなで作り上げたものなので、たまに写真を見返します。日々仕事では色々なことがあって大変だけど、「あの日に思いを共有したんだ」ということに立ち返ったときに、前向きというか強気になれるというか、励まされるような気持ちが湧きます。チームの土台の部分に、繋がりができたのではないか。振り返って、そう感じます。

小川さん:意識して見返すということはないですけど、ときどきスマホのカメラロールをざざっと見るときに目に飛び込んで来るから、積極的に見返そうとしなくても自然に思い出すということはありますね。

――全体を振り返って、企画の狙いは無事に達成できたと言えそうでしょうか?

宇野澤さん:意図したとおりの1日になったと思います。レゴ®シリアスプレイ®を通じて、目的が達成できたと感じました。

宮崎さん:はい。一人ひとりが「違う」ことを仲間に伝えることができたのがとてもよかったです。そういうチームを作りたかったので、それを体現できました。

――このワークショップは、フローレンスの他のスタッフの方々にも参加いただくイメージを持てそうでしょうか?

宮崎さん:チームビルディングに効果的なので、たとえば施設型保育所の先生方に参加いただけたらいいのではと思います。

宇野澤さん:先生方は、和を大事にされる方が多いので、結果として実は言いたいことも言わずにいることもあるのではと思います。ですので、このワークショップのように、ブロックの作品を介在させて伝える形にすると、想いが表現しやすくなるのかなと期待しています。作品を通して意見を言うのは、相手に直接言うのとは異なりますから、自分の思い、そして目指す方向をチームの中で共有しやすくなると思います。

――ぜひ保育所の先生方へのワークショップの企画も、実現できたら素晴らしいと思います。改めまして、ありがとうございました!

ファシリテーター飯田からひとこと

飯田 一弘

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了 LEGO®SERIOUS PLAY®メソッド 教材活用トレーニング修了認定ファシリテーター(2017年取得)

とてもスムーズでエキサイティングなワークショップでした。参加者が自分で自分たちをファシリテーションしてくれるので、ファシリテーターにとってはある意味で夢のようなシチュエーションでしたね。途中からは、良い意味で、ヒマでした。 ビジョンと思いで繋がって事業に取り組む人たちが多い今回のようなチームには、レゴ®シリアスプレイ®はきっと相性が良いだろうと思っていました。今回ご提供させていただいて、このワークショップがマッチすることを改めて認識できました。もちろん、営利組織であっても、組織としてのビジョンやミッションを掲げ、ひとりひとりのメンバーがそれと繋がることを大事にしている組織には、強くお薦めできますね。

記者からひとこと

ワークショップの場にも同席させていただいたのですが、「ビジョンを形にする、語る」というプロセスを、真剣に、そして楽しそうに取り組まれている方々ばかりで感銘を受けました。17名の方々には、普段から一緒に仕事をしている方もいれば、日常的には東北の事業所で仕事をしていて滅多に顔を合わせないという方もいました。そういった方々が顔を合わせ、じっくりと対話を深める場をどれだけ大切にされているかが強く伝わってきました。フローレンスという団体が世の中から必要とされ、誇りを持って課題を解決し続けているということ。改めて応援していきたいと思います。

高橋昌紀(ミテモ)

【企業紹介】

  • 認定NPO法人フローレンス
  • 代表者:代表理事 駒崎弘樹
  • 団体概要:「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団。「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」など、常識や固定概念にとらわれない新たな価値を創造している。
  • Webサイト:https://florence.or.jp/